奏作空間

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2015.02.13 Friday
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    『春』要点整理③ -プロジェクト"SPRING"の実験-

    2011.07.17 Sunday 23:00
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       えらい台風が来ているようですね。まあ、程々に暴れてもらって、この暑さを吹き飛ばしてくれるとありがたいのですが。

       さて今回は途中で放置していた要点整理の3回目にして最終回をお送りします。今更そんなことをして意味があるのかって感じですが、1度やり始めたことなので一応ここで締めくくることにします。僕自身、執筆してからだいぶ時間が経っているので、細かい部分にあまり気がまわらないかもしれません。ですので、今回は簡潔にまとめたいなと思っています。

       復習するのは新空間計画が立ち上がってから、プロジェクト"SPRING"が形になるまでとします。これまでのシリーズと同様、ネタバレ要素満載でお送りしますのでご注意ください。


      ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

      ・2026年 年末
       ようやく新空間計画が始動して満足していた神崎だったが、ここで新たなる問題が発生する。この夏の事件で姿をくらました猫目宗助が、メガマスのライバル会社CGWに拾われたという知らせが入ったのだ。
       宗助はCGWに内在する旧コイルス一派とともに、再びメガマスを狙う可能性がある。それは新空間計画の完成に向けて障壁となるかもしれない。そう考えた神崎は対策を打つことにした。そこで神崎に協力したのは旧コイルスの技師で新空間の設計にも関わっている細川技師(香川昭大)だった。
       細川はCGWのコイルス一派と連絡お取り合い、スパイとして彼らの動向を把握するとともに、その動きを操った。コイルス一派も、まさか旧コイルスの技師である細川がメガマスに加担して自分たちを嵌めようとしているなどとは思わなかった。
       神崎は彼らを釣る餌として、古い空間を現出させる空間制御プログラムを用意した。後にコイルス一派は細川の誘導でこれをハッキングして暴走させることになるが、これも新空間計画の存在を彼らに悟らせないための神崎の策略でもあった。
       
       また、この時期にプロジェクトチームの幹部である小野隆は、新空間という概念とそれの完成に向けて必要な技術を卒論で提唱した竹下直樹と会い、プロジェクトへの参加を要請した。直樹の任務は、新空間が通常空間に及ぼす影響を観察すること。直樹はそれを引き受けるかわりに、新空間計画完成のあかつきには自分も技術者としてメガマス加えてほしいと申し出る。小野はするも、そもそも直樹をプロジェクトの中枢に据えるつもりはなく、利用価値がなくなったら末端として切り捨てることを考えていた。それには、小野自身の直樹の才能への嫉妬もあった。

      ・2027年 1月から2月
       新空間が順調に構築されるのを尻目に、神崎は自身が温めていたもう1つのプロジェクトを始動させた。それこそがプロジェクト"SPRING"で、プロジェクトチームのトップである金沢支社長にも認可を受けた。生身の人間の意識を新空間に送る一方で、取り残された肉体には人工知能AIを移植するというこの計画の可能性を、支社長自身も強く感じていた。プロジェクトを立ち上げるにあたって、彼は"SPRING"の可能性を政府関係者に秘密裏にプレゼンし、また世界に展開するメガマスグループの人脈を使って、各国の要人にも同様のことを行い、そこからプロジェクト完成に向けての資金を集めた。
       新空間が完成した直後、細川技師は真っ先に桐野詩織を新空間の中に入れた。交通事故以来、ずっと意識を閉ざしていた詩織は、新空間の中で半年以上の眠りから覚めることになる。

      ・2027年 3月末
       空間制御プログラムが完成したのを見越して、猫目宗助は再び大黒入りした。手はずでは、この後細川がメガマス内部のネットワークセキュリティを解除し、CGWがそれをハッキング、それをここ大黒で宗助が暴走させるという手はずになっていた。
       しかし、宗助は大黒入りした後、間をおかず神崎の手の者に拉致される。彼はプロジェクトチームの本拠である弁天のアプリコット社が所有する研究施設で強制的に電脳体を分離させられ、肉体には量子回路が埋め込まれる。これで、AIの支配する猫目宗助が誕生する。彼は、プロジェクト"SPRING"の最初の被験者となった。

       またこの時、直樹もまた行動を起こしていた。架空請求の犯人に仕立てたダイチを警察に連れてこさせ、彼のメガネを預かり、そこに新空間へのアクセスプログラムを仕込む。その後、彼のメガネを媒介にして、彼とファイルを共有する大黒黒客、そしてコイル探偵局へとそのプログラムは渡っていった。これにより、彼らのメガネは廃ビルに現れたメタバグを発見できるようになった。
       直樹の目的は彼らに廃ビルで電脳戦争を起こさせること。その時に観測される新空間の影響をつぶさに記録し、彼はプロジェクトチームに報告していた。この時彼の報告を受けていたのは細川技師だった。

       同時にプロジェクト"SPRING"では2人目の被験者にもAIが移植された。それが桐野詩織だった。詩織のAIの実験はうまくいったものの、そのAI自身がどういうわけか新空間に近い場所にいることを好むという結果が得られた。彼女は大黒市の中でも新空間に近いとされる廃工場によく出向いていた。新空間の実験を行っていた直樹は彼女の存在に気付いてはいたものの、彼自身は"SPRING"のことは知らなかったので不審に思うだけだった。

      ・2027年 4月1日
       この日に宗助のAIは空間制御プログラムを暴走させた。しかし、宗助の行動はすべて神崎によってコントロールされていた。宗助は廃ビルで子ども達を集団失神させるも、当初のCGWの思惑である古い空間に電脳体を閉じ込めて人質にとることは叶わなかった。それは細川が制御プログラムを外から操っていたからである。
       神崎の描いたシナリオはこうだった。宗助はこの後警察に逮捕され、すべての罪を自ら背負うような自供をする。これにより、CGWは宗助の道連れにされるのを免れることになる。もしCGWにも捜査のメスが入れば、今度は空間制御プログラムを開発し、ハッキングされたメガマスの信用問題にもつながる。それを阻止するには、宗助1人が罪を被るのがもっとも丸く収まると神崎は考えたのだ。後に神崎はCGWと連絡をとり、彼らがメガマスに歯向かったことを水に流すかわりに、2度とこのようなことを考えないようにと釘をさした。宗助をAIとすり替えたのは、"SPRING"の実地試験と、宗助1人に罪をなすり付けてCGWに貸しを作り、彼らの今後の動きを封じるという2つの目的があったのだ。

      ・2027年 4月中旬
       宗助の件も片付き、桐野詩織のAIの実験もうまくいった。色気を出した神崎は、次にまた別の実験を思い付く。それは、肉体の持ち主以外の人物のAIを移植したらどうなるかというものだった。その被験者として選ばれたのは、またしても詩織だった。
       しかし、いきなりまるっきり別人の人格とすり替えるのはどうかと思った神崎は、桐野詩織の架空の双子の姉妹という設定で、桐野沙織という人格を作りだした。詩織が元々住んでいた金沢に移し、ごく普通の中学生として、戸籍を改ざんして学校に登校させる用意も整っていた。
       しかし、そこでミチコを原因とする空間の不具合が起こった。それを抑えるために神崎は沙織を利用することにした。その時沙織のAIに、自分には交通事故に遭って今は意識が異空間にある母と姉がいて、彼女達の身柄は神崎が預かっているという架空のシチュエーションが記憶として流し込まれた。このためAIの沙織は神崎の言いつけを忠実にこなさなければならなかった。
       神崎もこれをAIの実験の1つとして考えていた。AIが人間社会に違和感なくとけ込むことができる技術が完成した今、AIの意志をコントロールできるということは強大な力となる。
       ではAIの意志をコントロールするにはどのような方法があるか。神崎は2つ考えた。1つは、AIの行動を直接プログラムすること。宗助の場合はこれだった。しかしこの方法の短所は、AIがプログラムに忠実になるあまり、状況の変化に対応できず、融通が利かなくなり、結果そのAIの言動がおかしくなることが想定された。実際、宗助の場合も関わった人は彼の言動を訝しんでいた。
       もう1つの方法は、AIにある状況を背負わせて、その行動をとらざる得ないように追い込むこと。沙織はこちらにあてはまる。実際には脳死状態で助かる見込みのない母と、本当の自分自身、桐野詩織という架空の姉のために沙織は、神崎の言う通りに動かなければならなかった。
       しかし、沙織は最後の最後に、神崎の命令に背きイサコに自分の秘密を打ち明けた。自分がメガマスの幹部の指示により行動していたこと。イサコを追いつめることは、本当は本意ではなかったこと。
       沙織は自分自身がAIであるとはもちろん知らない。しかし神崎は、彼女のAIが随分と人間的に仕上がったことを複雑な気持ちで捉えていた。

      ・2027年 4月下旬〜5月上旬
       旧第三小跡地で電脳体分離を起こし、新空間に迷い込んだヤサコ、ハラケン、フミエ、アイコ。このうちハラケンだけはこの日のうちに電脳体が戻って来なかった。
       この事態を受けて竹下直樹は責任を感じ、自ら彼の電脳体が戻って来るように画策する。直樹は既にプロジェクトチームからは蚊帳の外に置かれ、彼らに不信感を抱いていた。彼らの意志とは関係なく、彼は自分自身の手でハラケンの電脳体を救おうと考えていた。
       その現場はヤサコ達に発見された直樹は自分の素性を暴露。その翌日にはメガマスにより取り調べを受け、自らの罪を反省。事件解決に向けて微力を尽くすと誓う。
       しかしハラケンの意識は記憶を失ってはいたが思ってもみないほどあっさりと戻った。ヤサコ達は安堵しながらも急展開に戸惑いを隠せない。これもプロジェクトチームの仕業だった。
       プロジェクトチームにより、ハラケンもまた"SPRING"の被験者としてAIが移植された。しかし彼の実験は宗助や詩織とはまた趣旨の異なるもので、これまで体内に埋め込まなければならなかった量子回路を、表皮に貼付けるだけでも問題なく機能するかという実験だった。
      後にダイチが見つけることになるが、ハラケンの首筋には肩こりを解消するために使うような丸い絆創膏が貼られていた。そこからヒントを得たイサコは、宏文の書斎で見つけた研究日誌の内容や一連の事件の状況証拠から推理し、彼がAIであることをいち早く見抜いた。
       その日のうちにプロジェクトチームがメガマス本社において新空間計画とプロジェクト"SPRING"をプレゼンテーションし、すべてを打ち明けた。


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       以上、簡潔と言いながらかなりがっつり書きましたが、これまでの流れを整理したことになります。これ以降の出来事は、第25話以降をお読みいただければと思います。

       さあさ、要点整理の宿題も片付けましたので、来週からはまた気ままな内容で進めたいと思います。久しぶりに川島の本棚でもやりましょうかね。それでは。




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