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    『春』要点整理① ー新空間計画とプロジェクト"SPRING"ー

    2011.04.17 Sunday 23:10
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       ども。いつも金曜日に更新している当ブログですが、事情によりこれからは基本的に日曜日に更新するようにしたいと思います。どうせ多くても週に1度しか更新しないので、あまり大した問題ではありませんが、よろしくお願いします。

       さて、前回に予告していました通り、今回からは佳境を迎えている『春』をより楽しんでいただけるように、また、ここがよくわからないやという部分を残さないために、物語の要点整理をしていこうと思います。

       今回はちょっと気合いを入れてやりますよ。というのも、書き手としてSF小説において避けなければならないことは、物語が大詰めを迎えているのに、「何が起きているのかさっぱりわからん」と読者の方に思われることだと考えているからです。映像化作品と違って小説は文字だけですから、こういった作品では伝える側も受け取る側も苦労するものだとは思いますが、この長い物語、ここまでお付き合いくださった読者の方に「何が起きてるのかわからん」でリタイアされてしまうのはあまりに忍びありません。

       ということなので、1回目の今回は物語の核にして二本柱、「新空間計画」と「プロジェクト"SPRING"」の概要をできるだけわかりやすく解説していきます。この2つの概要が理解できれば、物語を読み進める上で障害はないと思います。それを意識して作中でも解説めいたものをくどくど書いているのですが、それではテンポや分量の問題であまり好ましくはありません。できれば以降は物語を進めることに集中していきたいので、ここでしっかりと整理していただければと思います。

       もちろん、例によってネタバレ要素満載でお届けしますので、最新話まで未読の方はご注意ください。



      ーーーーーーーーーーーーーーーーー

       さて、まずは「新空間計画」の解説を始めます。これこそが物語の肝であり、これを中心にして物語がまわっていると言っても過言ではありません。「プロジェクト"SPRING"」も、竹下直樹の「永遠の命計画」も、平松部長の「名もなき計画」も、「新空間計画」の完成ありきで立案されたものだからです(「永遠の命計画」と「名もなき計画」も、余裕があれば後日解説します)。この計画を理解していただくことが、まずは第一歩ですね。

       と言いましても、非常に概要は単純明快です。新空間とはアニメで登場したCドメイン、古い空間の原型となったイサコの心の空間の発展系で、イマーゴの子どもしか入ることができなかったそれらを、誰の電脳体も永遠に居続けられるように改良したものです。「新空間計画」とは、その新空間を完成を目指したプロジェクトということになります。

      「新空間計画」の起こりは近いうちに振り返ろうと思いますが、それはあらゆる人の思惑が飛び交う中で立案され、進められたものでした。そして、完成した新空間にはある特徴がありました。それは、新空間は現実世界のパラレルワールドということです。

       太字にした部分はとても大事なところです。もちろんテスト範囲ですので、ノートに取っておきましょう。というのは冗談ですが、そのくらい押さえておいてもらいたいポイントです。パラレルワールドということは、皆さん、あれですよ。自分とまったく同じ人間がそこで生活しているのです。

       人間というと少し語弊がありますね。正確には自分とまったく姿形、思考を持った電脳体が生活しているということになります。

       なぜそんな空間が作られたのか。一言で言うなら神崎氏がごり押ししたからです。それにはこの後説明するプロジェクト"SPRING"が絡んできますが、ここでは詳しい経緯は割愛します。姿形のコピーはともかく、なぜ思考の再現ができるのか、という疑問には第2部の最終話「徒花の咲く庭 part11」で詳しく説明しています。それでもわかりにくければ、これも後日解説します。

       思考の再現とは、自分とまったく同じ記憶、同じ論理系統を持つAIを用意するということです。そしてそのAIを自分の姿をした電脳体に接続することで、いわば自分のデジタルクローンは完成します。

       「新空間計画」の超重要な点はこのくらいです。それでは次のプロジェクト"SPRING"の解説に入る前に、その前提として理解が必要な電脳体分離の仕組みに対する僕の解釈をおさらいしておきましょう。

       そう、あくまで僕の解釈を前提にしないと『春』という作品は成り立たないのです。この問題に対する解釈は多種多様だと思いますが、ともあれ、僕の解釈を理解して作品に向き合っていただきたいと思います。これも以前に当ブログで解説しましたが、念のため簡単にもう1度説明しますね。詳しい説明は、創作日記(5)をご覧ください。

       その時も太字にしたのは、分離中の電脳体を動かしているのはあくまでも肉体の脳という部分です。ものすごくおおざっぱな解説をしますと、電脳体分離の最中は、電脳体に方に脳が移ると考えてください。そして、取り残された肉体は脳の部分だけが空白になった抜け殻と考えてください。電脳体分離時には脳がすっぽりと抜け落ちた状態になるので、肉体を自由に動かすことはできないということになります。

       ちなみに、第24話「プロジェクト"SPRING" part1」で、小野先生が交感神経や副交感神経がどうのこうの説明する場面がありますが、あの話はまったくのデタラメです。あれは神崎達が本社を騙すために考えてきた嘘なので、あの話は完全に忘れてくださいね。

       では、プロジェクト"SPRING"の話をします。"SPRING"とは、人間の神経伝達機能の役割を果たすシステムという意味の英文の頭文字をとったものですが、まあ細かいことは気にしなくてもいいでしょう。プロジェクト"SPRING"の目的は、電脳体分離で脳が電脳体の方に乗り移って取り残された肉体に、人工知能AIを移植するというものです。

       これはおそらく図で示した方がよくわかると思います。下にまとめたものをご覧ください。なお、通常空間とは現実世界のことを指していることとし、先ほど説明しましたが、新空間では自分のデジタルクローンが生活していることを踏まえて見てください。
       

      正常時           "SPRING"起動時
       通常空間 肉体ー脳      肉体ーAI
        新空間 電脳体ーAI       電脳体ー脳


      という、入れ替わりが起こるということですね。作中のハラケンは"SPRING"起動時の状態にあります。彼のAIは記憶を一切持たされなかったため、傍目から見れば記憶喪失になったということになります。

       このプロジェクトの本質は、AIを操作することによってその人の行動を電脳的に操れるようになるということです。これこそ神崎氏が是が非でも実現したかったことであり、そのためにサオリや宗助の肉体は実験に使われていた、ということになります。

       ちなみにですが、電脳体そのものはコピーが可能という設定です。通常空間で肉体と重なり合っている電脳体と、新空間の中でAI接続されて生活している電脳体が存在するので、本来的には2つの電脳体があるということになります。

       そして細かい話になりますが、同じ空間内に同一の電脳体が存在してはいけないという法則もあります。ハラケンの場合を例に説明しますと、彼の電脳体は第三小学校の事件で新空間に連れて行かれました。あくまで連れて行かれたのは、肉体と同期していた電脳体です。つまりこの時点で新空間の中には、2つの電脳体、2人のハラケンが存在することになります。そして、上記した法則に従えばこれはゆゆしき事態ということになります。この矛盾を避けるため、どちらか一方の電脳体は抹消されなければなりません。その時優先的に抹消されるのはコピーの方、つまり元々新空間の中で生活していたAIを伴った電脳体なのです。そして、そのAI抹消の役目を負っているのは新空間の神、ミチコということになります。

       つまりオリジナルのハラケンは今も新空間の中にいます。そして、コピーのハラケンは新空間から存在を消されているのです。その消されたハラケンのAIは、今度は肉体に宿ることになったということですね。

       この話に関連して、皆さんは覚えておりますでしょうか。第2部のまだ前半戦、イサコと金沢黒客が学校の中でサオリの行動を見張っていた話がありました。その時イサコとシュウイチは、レインとカズマの幻影らしきものを見ます。その時の彼らは、学校の中で開いてしまった入り口から通常空間に入り込んでしまった新空間の住民だったのです。新空間から通常空間へと入ってしまったハラケンとは逆パターンですが、彼らもまた法則により抹消されてしまったわけです。

       ということで、物語の骨格を形成する2大プロジェクトについて要点は列挙できたかなと思います。これを理解いただければ、おそらく物語の展開に取り残されることはないかと。また質問がございましたら、遠慮なくどうぞ。

       次回も要点整理をします。作中の出来事を過去の話から時系列順に並べたいなと思っておりますので、こちらもよろしくお願いします。  
       

       

       

       
















       
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