奏作空間

Reading & Creation Space "SOH"

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    『電脳コイル 関西edition』第1話 part2

    2011.01.14 Friday 23:05
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       『電脳コイル 春』は年明け最初の更新にて、ついに総パート数200を突破しました。去年100部を突破した時もお知らせしたのですが、正直笑えない数をこなしていることを再確認し、ここまでくると逆に笑うしかありません。ほんと長いこと引っ張ってしまって申し訳ないです。

       さて今回から、去年の夏に一発試作版を作った『電脳コイル 関西edition』の連載をスタートさせます。コンセプトのおさらいをしますと、本作はアニメ「電脳コイル」のお話を、フミエが関西弁で語るというスタイルで進めていきます。基本的に展開はアニメとまったく同じ線をなぞろうと考えているのですが、そうするとただ関西弁になっただけでだんだん飽きてくると思うので、アドリブは色々と加えていきます。最終的にはフミエがイサコを救いに行く物語になったりして。

       まったく終着点とか考えていませんが、とりあえず数は稼げるだろうということで、今年のブログはこの物語を軸にぼちぼちやっていきます。それではパイロット版の続きからどうぞ。



      ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

       #01「電脳ペットの捜索は義理・人情と低賃金」 part2

       さっき出会った地味な子の依頼を受けて、ウチは指定された資材置場にやって来た。ちょっと早く来過ぎたかな。って、やば。今イヤな電子音が聞こえたと思ったら、東の方角からキュウちゃんが飛んで来るところやった。ウチは路地に隠れて様子を窺う。そしたら依頼人の子も到着した。
      「UFO?いまどき?」
       あの子、また無防備にキュウちゃん眺めてるけど、見つかったらえらい目に遭うで。でもここで大声出すとキュウちゃんに見つかるかもしれへんし、ここはそっと声をかけよ。
      「お客さん」
      「あ」
      「また会ったな」
       依頼人がこっちに気付く。キュウちゃんはそのまま通り過ぎそうやった。
      「静かに。じっとしてるんやで」
       キュウちゃんを無事にやり過ごしたところで、ウチはその子に駆け寄った。
      「はあ。最近増えたやんなあ、キュウちゃん」
      「キュウちゃん?」
      「知らへんの?球体やからキュウちゃん」
       安直過ぎてウチはその呼び方気に入ってへんけどなあ。みんながキュウちゃんキュウちゃんって言ってるから、うつってもうた。
      「で、仕事はなんなん?」
       確認のためにその子にもう一度聞く。その子はブサイクな飼い犬の画像をウチに見せて状況を説明してくれた。どうやら壁に穴が開いてその犬が入り込んでしもたらしい。
      「ふーん」
       ウチはその壁をまじまじと観察する。まあ、見たところ不安定そうな空間やけど。
      「あの、私小此木優子っていうの。よろし......」
       その子が紹介し終わるのを待たずにウチはその壁に蹴りを入れた。画像がびりびりと乱れだす。
      「ウチは橋本フミエ。よろしくな」
       気のない挨拶になったけど、まあ言ってもよその学校の子やろうし、また会うかどうかもわからん。それよりウチは乱れた画像が何秒で修復されるかを調べるのに気をとられた。
      「空間が古いなあ。料金は200メタやけどいい?」
       その子はきょとんとした表情になった。
      「メタ?メタって何?」
      「あんたメタバグも知らへんの?ほら、さっき渡したやん」
      「ああ」
       思い出したようにその子はポシェットから1つ取り出した。あ、ちょっと待って。それはさっき、ウチが200メタ相当ってウソついて渡した、ほんとは100メタ相当しかないチャチなヤツやん。どうしよ。どうせこの子、他にメタバグなんて持ってへんやろし、足りひん分は現金でって言えるわけないし。
      「しゃーない!今回はそれで手を打ったろ!」
       ウチは泣く泣くそのメタバグ1つで引き受けることにした。商売あがったりやで。
      「え?さっきこれ200メタ分って言ってなかった?」
      「ん?えーからえーから。気にせんといて」
       いちいち細かい子やでまったく。まあ、気を取り直して仕事にかかろか。
      「で、どんな状況で壁ん中に入ったん?」
      「それが、変な黒い生き物について行って」
       お!?
      「なんやて!」
       それもしかしたら、イリーガルちゃうん?やったら話は別や。慎重に取りかからんと。一応このこと、メガばあに連絡した方がええな。
      「ちょっと失礼するな」
       ウチは電話をかけた。
      『へろー。どうしたんじゃ?会員ナンバー七のフミちゃん』
      「うん。今新顧客の女の子から依頼を受けたんやけど」
      『おう、それは良かった。営業成績に応じて、次回割引してやるからの』
       ウチは会員やから営業成績として加算されるけど、要は美容室とかの紹介者割引みたいなもんや。さすが商売の仕方がこすい。
      「ありがとう。でも今はそれどころやないねん。どうやらその子のペット、黒い生き物を追いかけてるうちに古い空間に迷い込んだみたいで」
      『なんじゃと?イリーガルが出たんじゃな?』
      「そうよ。イリーガル見たんやて」
      『そうか......それはまずいのう。感染すると厄介なことになる。助け出したら念のためワシのところに連れて来るんじゃ』
      「わかったわ」 
       ウチは電話を切って霧の立ちこめる資材置き場の中に入り込んだ。これは、どうもあかんなあ。
      「急いだ方がええな。ちょっと、それとってくれへん?」
       小此木さんに落ちてたトタン板を立てかけてもらう。その間に、ウチはこの素人さんに基本的なことを説明することにした。タダで。
      「古い空間は、だいぶ前に廃棄されたはずの空間やねん。そこに入り込んだんやったら、ちょっとやばいかもしれへん。特に最近のペットやったらな」
      「どういうこと?」
      「バージョンの合わへん空間やったら、ペットの体は壊れやすくなるねん」
      「壊れやすくなる!?」
      「すぐには死なへんわ。ちょっとどいて」
       ウチはポシェットから黒バグスプレーを取り出した。次にメガネにトタン板を認識させる。
      「ねえ。こんなんで本当にデンスケ助けられるの?」
      「まあ、見ててや」
       スプレーをしばらく吹きかけると、ぽっかりと穴が開く。
      「なによこれ?」
      「黒バグスプレー。メガシ屋で売ってるで」
      「メガシ屋?」
      「駄菓子屋の名前」
       何回か吹きかけると、穴は十分に広がった。
      「こうして、まずは穴を開けるねん。サッチーに見つかったら大変やけど」
      「サッチー?」
       なんでもオウム返しやなこの子。
      「サッチーも知らへんの?ほら、赤くて大きくて4個ついてる」
      「はあ」
       人が説明してんのに、きょとんしてもうてるもん。
      「アンタほんまになんも知らへんなあ」
      「今日、金沢から引っ越してきたばかりなの」
       そう言えばさっきそれ電話で聞いたな。
      「へぇ〜。金沢にはサッチーおらんのかな?」
       ちなみに大阪にはおるんやろか?こんなしゃべりで大阪行ったことないって言うと、いつも信じられへんような顔されるからなあ。一回通天閣はのぼっとかなあかんなあ。って考えながら、ウチはポシェットから釣り竿を取り出した。
      「ちょっと持っててな。それは電脳釣り竿。メガシ屋で売ってるわ。そしてコイツが、このミッションの主役。出てこい!タコやき!」
       ポシェットから丸まったタコやきを放りなげる。着地してから起立したタコやきを見て、小此木さんは驚いたように訊いてきた。
      「アナタのペット?」
       まさか。
      「ペットちゃうよ。ウチのしもべ。タコやき」
      「なんでタコやきなの?」
       いい質問ですねえ。
      「あのな。今見てたと思うけど、ポシェットに収納する時に丸まってる姿がたこ焼きみたいで、めっちゃかわいいねん!だからタコやき」
      「はあ」
       全然ピンときてないな、この子。本物のたこ焼きも見たことないんちゃうか。
      「これも、メガシ屋で?」
      「これは売ってへん」
       メガばあからもらったものには違いないけどな。メガばあはコイツにオヤジって名前つけてたけど、ウチがもっと良い名前を付け直してあげた。きっとタコやきも喜んでるやろ。そのタコやきは、初対面の小此木さんに頭を下げた。
      「これはご丁寧に」
       小此木さんも合わせて頭を下げる。ん?なにタコやきのヤツ、頬を赤く染めてんねや。
      「仕事やタコやき!」
       そうしてウチは手際よく釣り糸をタコやきに結びつけた。これも毎度やってることやし、手慣れたもんやで。
      「さ、後はメタタグを貼って」
       こうして思いっきりシバき倒すようにメタタグを貼るのも儀式みたいなもんや。
      「これでちょっとは壊れにくくなるやろ。よーし、行くんやタコやき!」
       黒い穴に入っていくタコやきに、小此木さんは興味津々みたいや。まあ初めて見たんなら、驚くのもわかるけど。
      「おもしろがってもられへんで。アンタの見た黒いのがもしイリーガルやったとしたら、キュウちゃんが嗅ぎ付けてもうじきやって来るで」
      「イリーガルって一体?」
      「最近見つかったコンピューターウイルスや。ペットに感染すると、やばいらしいで」
       悪いニュースばっかりで申し訳ないけどな。そろそろ冗談言ってる場合やなくなってきた。しばらくウチが黙ると、小此木さんも不安そうにじっと待っていた。
      「どうなの?」
      「うーん。思ったより入り組んでるなあ。ちょっと、様子聞いてみるわ」
       釣り竿に取り付けられている糸電話に呼びかける。
      「もしもし?こちらフミエ。タコやき、聞こえるか?オーバー」
       しばらくして応答が返って来る。タコやきの言葉は意味不明やけど、メガネに専用の翻訳ソフトがインストールしてあるからウチにはわかる。
      「うーん」
      「ね?どうなの?」
      「思ったよりおっきいみたいや。古い空間の中は迷路みたいになってるねん。もっと、近くにポイントが見つかればいいんやけど」
       そん時近場でキュウちゃんのレーザー音が鳴ってマジビビった。
      「あかん!」
      「何なの?」
      「キュウちゃんや!いつもやったらもっと時間かかんのに!」
       ウチは急いでリールを巻き上げる。このままやとタコやきの身も危ない。
      「どうするの?」
      「予定変更や」
      「まさか見捨てる気?」
      「アイツら、黒バグもペットも見境なく撃ってくるんやで!ここは一時撤退しかあれへん」
      「そんなあ!」
       いや、まあ気持ちはわかるけど。ウチらもあくまで商売やからな。撃たれて損害出すわけにはいかへん。そうするうちにタコやきを連れ戻した。
      「さ、引き揚げるで」
      「ま、待って!」
      「ウチらかて、撃たれたらタダじゃ済まへんねんで!」
      「お願い!ちょっとだけ、ちょっとだけ待って!」
       はあ?もうわかってへんなこの子。一緒に犠牲になる義理はないけど......
      「デンスケ......」
      「どうしたん?」
       小此木さんはウチの言葉も聞こえてへんみたいで、トタン板を持ってあちこち探し始める。
      「ここじゃない」
      「なあ。どういうことなん?」
      「......違う!」
       素人さんにポイントがわかったらこっちも苦労せーへんわ。それより逃げる時のことでウチは頭がいっぱいになってた。もうそろそろ限界や。にも関わらず彼女は自信まんまんにトタン板をあるポイントに立てかけた。
      「ここよ!この近くにきっといるわ!ね、早く!」
       ほんまに言うてんのこの子。、その自信はどっから湧いてくんの?ウチはタコやきと顔を見合わせる......まあ、ほんまに後少しぐらいやったら。それでこの子にも義理が立つやろし。
      「しゃーないな!タコやき!男気見せたれ!」
       ウチもやけになってタコやきをもう一度穴に放り込んだ。
      「ありがとう!」
       彼女の顔が輝いた。まだ助け出せてもないのに、それは重いで。
      「礼はえーから。タコやき!急げ!」
       どんどんキュウちゃんは迫ってるのに、いっこうに手応えがない。
      「早く」
       小此木さんの願いを無下にすんのかタコやき!と、その瞬間やった。
      「来た!」
       ついにタコやきからの合図が届いた。急いでリールを巻き上げる。ついに敷地内にキュウちゃんが入ってきた。
      「来たあ!」
       最後の最後、あと数秒でウチらも射程圏内に入るってところで、ウチは竿を思いっきり引っぱり上げた。そして、タコやきとデンスケが穴から飛び出して来た。
      「デンスケ!」
       彼女も叫び声をあげると、間一髪でトタン板から離れた。キュウちゃんがそのフォーマットを終えたタイミングで、ウチは釣り竿を投げつける。まずはこっちに気を取られるはずや。今のうちに。
      「逃げるで!」
      「うん!」
       タコやきを回収し、ウチらはダッシュで資材置き場を後にする。でもキュウちゃんもすぐに後を追ってきた。次の曲がり角を右に折れたところで、ウチは愕然とする。もう1機のキュウちゃんがそこで待っとったから。
      「うわっ!」
       どう逃げようかと考えてると、今度は背後からえげつない気配がした。後ろの建物に”郵”と書かれたロゴが浮かび上がる。ついに出てきよったか。アイツが。
      「今度はなに?」
      「いよいよ、サッチーのお出ましやで」
       灰色の建物からメリメリと突き出してくる血に染まったような赤い胴体。闇に紛れて獲物を捉える豹のような鋭い眼光。ウチの3倍はあろうかという巨体は、彼女を圧倒した。
      「一体どうなってるの?この街は?」
       後で思い返せば、それを解き明かすのがこの物語の趣旨やったわ。

       第1話 (終)

      ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

       はーい。今週は以上です。フミエの物語なので、どうしてもフミエの言葉で終えたかった
      のでこんな強引なセリフで幕切れ。次回はアニメ第2話をやっていきます。

       それから先週も触れましたが、これ書いてみて思ったよりも時間をくうということがわかったので、しばらくブログは隔週に更新します。基本的には2週間に一度ということになると思います。誠に勝手ながら、それでよろしくお願いします。

       それでは今週はこの辺りで。
       

















       
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      2015.02.13 Friday 23:05
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