奏作空間

Reading & Creation Space "SOH"

スポンサーサイト

2015.02.13 Friday
0

    一定期間更新がないため広告を表示しています

    - | - | - | - | - |

    創作日記(5) SF的要素の独自解釈について

    2010.12.17 Friday 23:05
    0
       
       今回の創作日記は少しまじめな内容です。電脳コイルにおけるSF的要素の考察は、「古い空間の仕組みとは?」など、このブログでは幾度にも渡って行ってきました。しかしこれまで電脳コイルという作品のすべてのSF的要素を取り扱ったわけではありません。『春』の中では原作の設定を僕が勝手に解釈した要素が多分に含まれています。そこで、今回はその点についてお話していきたいと思います。まずはその前に少し前置きをさせてください。

       僕は小説を執筆するにあたって、少しばかりネットでそのノウハウを検索したことがあるのですが、特に二次創作で大事なことは、原作の設定に対して作者独自の解釈を加え、オリジナル性を引き出すことだそうです。電脳コイルの設定やガジェットは幅広い展開が可能で、100人が書いたら100通りの『電脳コイル』が出来上がるのではないかと思うほどですが、僕も『春』においては遠慮なく自分のオリジナル要素を盛り込んでおります(『いざ、決着の時』のバーチャルゲームなどは良い例です)。しかし僕はこの点においては不得意であることを自覚しており、例えば此花さんの『冬を〜』や『3.00』に登場する新電脳アイテムなどは、原作に対する深い解釈とたぐいまれな想像力の産物で、それを生み出せる力というのは素直にうらやましく思っている次第です。

       以上のように、まずオリジナル性を出すには、原作の設定に対する正確な解釈が求められます。ただし、このようなSF作品ともなると、その解釈も人それぞれ違うと思います。要するに、ある設定に対して、僕がどう解釈し、作中でどのように描いているのか、それを説明する必要があるように思われたわけです。これを説明しないと『春』という作品のすべてを読者の皆様にお届けできませんよね。

       ということなので、僕が独自解釈している原作の設定を例として列挙していきますので、それぞれに対する僕の考えを説明させてもらいます。

       

       例1 物理結界は肉体にも有効なのか?
       
       物理結界は皆さん御存知ですよね。サッチーのような電脳体が通れなくなるという代物です。『春』で言いますと、この暗号を使ってヌルを封印するというシーンがありました。でも、ここで純粋な疑問。普段、人やナマの生き物達は肉体と電脳体がぴったりと重なっている状態にあります。では、そのごく正常な状態で物理結界の上を通ろうとしたらどうなるのか。僕の答えは上述したシーン(第12話)に描写したのでまた見てもらえたらと思うのですが、これは通ることが”できる”と思います。
       考えてみたら当たり前の話で、ごく正常な状態であるならば電脳体が肉体を制御することなんてできないと思うのです。電脳体分離を起こしていないかぎり、主導権はいつも肉体にあるという僕の考えは、後で触れることにします。
       ですが、それは物理的には可能なのであって、ここにはまた別の問題も絡んできます。それはどういうことか。物理結界を突き破るということは、現実世界と電脳世界に矛盾が起きるということになります。その矛盾を強引に打ち破ったしわ寄せは、メガネにいくと思います。つまり、電脳世界で通れるはずがない道を通ってしまったということは一種のバグで、メガネのデータ処理に多大なる影響を与えるはずだからです。要するに、それをするとメガネがパンクしてしまうかもしれないということです。そんな危険を冒して、わざわざ物理結界に突っ込もうとする人はいないでしょう。(ただ、上述した当該シーンは一種の極限状態なので、ここで述べたことはあまり意味をなしていません)。したがって、正常な人間が物理結界を通過することは不可能ではないが、わざわざそれをやろうとする人はいないというのが僕のこの問題に対する結論です。

       例2 電脳体分離の仕組み
       
       これは直近のお話で取り上げた問題です。おそらくあの説明で納得できる人の方が少ないと思いますが、これはこの物語の肝でもあるので、ご理解いただければ今後もより一層お話がわかりやすくなるというものでもあります。ですのでこれについては一応の説明をここで行いますが、わかりにくいというご意見があればまた言ってください。後日また丁寧に説明させていただきます。
       電脳体分離の仕組みについて、僕の解釈でのポイントは、分離中の電脳体を動かしているのはあくまでも肉体の脳ということです。あの人の言葉を借りると、「電脳体分離とはすなわち、脳指令の出力先が肉体から電脳体へと切り替わること」となります。
       先ほどの問題でもありましたが、まず、正常な状態において脳が指令を出しているのは肉体です。その動きが街頭カメラや他人のメガネにキャッチされ、寸分の狂いも時差もほとんどなく、電脳体に反映されているということなんでしょう(多分)。その状態においては肉体に主導権があると僕が考えるのはそういう理由です。
       ところがひとたび電脳体分離を起こすと、まず脳指令はメガネの量子回路に吸収されます。そして量子回路はアンテナとなって、その脳指令をデジタル変換したものをサーバーに転送します。サーバーはその脳指令を読み取り、対象者の電脳体はおそらくこう動くであろうと推測し、それを電脳体に反映させます。そしてさらに、サーバーはその電脳体が見ている景色、聞こえている音、いわゆる五感で感じ得るものすべてを読み取り、量子回路にそのデータを送ります(これは電脳ペットと同じ原理です)。量子回路はそのデータを、脳指令をデジタル化する時と逆の手順で神経伝達物質に変え、肉体の脳に送る。すると脳は、電脳体が感じているすべてをまるで肉体が感じているかのように錯覚するという仕組みなのではないでしょうか。(余計話をややこしくしただけのように思えますが大丈夫でしょうか)。
       つまるところこの解釈をすると、分離を起こした電脳体は、肉体とほぼ同様に視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を有しているということになります。それがあってこその新空間計画ということになるわけですけどね。(詳しくは第21話を参照ください)
       あまり細かい設定を気にしても仕方ないですし、実際論理的には矛盾だらけの解釈だと思うのでこれは頭の片隅に置いておく程度で構いません。大事なのは、分離中の電脳体を動かしているのはあくまでも肉体の脳であるということです。僕の独自解釈のポイントとして、それだけ押さえていただければと思います。

       今回は2つしか例をあげられませんでしたが、また思いつき次第、今後も説明を加えていきたいと思います。また、今回の内容でわからないというところがあれば質問してください。

       さて、もうあれですね。再来週は大晦日でブログどころではないでしょうから、来週が年内の最終更新ということになりそうです。またそうですね、今年1年を振り返りましょうか。いつもこんなことをしている気がするので、また内容は考えておきます。それで来週ですが、クリスマスとか関係なくスケジュールが立て込んでいるので、土日のどちらかで更新できればと思っています。『春』は頑張って年内のあと2回とも更新しようと思っています。それでは、よいクリスマスを。


















       
      『電脳コイル 春』について | comments(2) | trackbacks(1) | - | - |

      スポンサーサイト

      2015.02.13 Friday 23:05
      0
        - | - | - | - | - |

        コメント

        どうも、こちらではお久しぶりです。川島です。

        電脳体分離の問題は、これは執筆開始当初からずっと思案していたことでした。これで根本的な矛盾を指摘されれば、作品そのものが崩壊しますので結構出した時はドキドキしたのですが、とりあえず仕組みの方は納得していただけて一安心です。

        実はこの此花さんとの微妙な認識の違いというのは、これから作品の核に密接に関わってくる問題でもあります。とりあえず、この問題に対する僕の解答は作中で描くことになると思いますので、とりあえずネタバレにはならないように、勝手ながらここでの議論は避けさせていただきます。此花さんとは随分前にも同じような問題で意見を交換したことがありましたね。なるほど、各々の解釈の仕方で作品との接し方が見えて来るというのはまったくその通りですね。これが二次創作小説として形になると、それが作品の色として際立ちます。
        | 川島奏 | 2010/12/26 5:28 PM |
        こんにちは、此花です。またもコメントに時間が空いてしまいました。

        今回のメガネの設定についての解釈、興味深く読ませて頂きました。そこで少し私の思ったことをば。

        まず物理結界について。これは『春』のみならず本編でも川島さんのおっしゃる通りと思います。電脳メガネというツールは、裏設定のイマーゴを例外として肉体へのフィードバックがないですから、通り抜けようと思えば通れないわけがありませんよね。ただしメガネはバグって壊れるでしょうが。メガネをかけたままで物理結界に飛び込まない、というのは、例えば我々が携帯で話しながら風呂やプールに入ったりしないのと同じくらいの感覚で捉えられているのではないでしょうか。

        次に肉体と電脳体の関係についても、その仕組みの詳細な解説、大変わかりやすく、胸のつっかえが取れたような思いです。本編にこの解釈を持ち込んでも十分通用するでしょうね。
        ただ私自身の考えには微妙に違う部分もありまして、私の場合、電脳体は脳機能そのものを有するという考えを持っており、『冬を〜』などはその原理に基づいています。なぜなら私は生物と電脳生物を全く等価と判断し得ると理解しているからなんですね。そうすると本編第20話でハラケンの会ったカンナもカンナであるということになり、より正確に言えばハラケンがそれをカンナと認識した限り誰もそれをカンナでないということはできない、となりますが、だんだん話が認識論的にややこしくなってくるのでこの辺でやめておきます。

        以前から感じていましたが、各々の解釈の仕方には、作品に対する接し方のようなものが見えてきて面白いですね。
        それでは、本日はこれほどにて。
        | 此花耀文 | 2010/12/23 1:44 AM |

        コメントする










        この記事のトラックバックURL

        http://spring-coil.jugem.jp/trackback/79

        トラックバック

        藤本式視力回復トレーニング【3日間限定】

        メガネやコンタクトレンズが視力を低下させる原因だとわかっているけど、 見えない...
        | おかねのなるき | 2010/12/19 8:38 AM |