奏作空間

Reading & Creation Space "SOH"

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2015.02.13 Friday
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    第2部完結・第3部突入記念特集

    2010.10.08 Friday 23:10
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       ついにここまで来たかという感じですね。半年間続いた第2部が先週完結し、昨日の更新より『電脳コイル 春』は最終章である第3部に突入しました。金沢市編、楽しめていただけましたでしょうか。ストーリー的には多少強引な部分もあったかなあと自分では反省しているんですけど、とりあえずやれるだけのことはやったと思っております。

       しかし段々とストーリーがややこしくなってきていますよね。特に終盤は物語の核心に迫る描写がありながら、急展開の中で慌てて回収した伏線もいくつかありました。その点はわかりづらい部分もあったかと思います。というところで今回は第2部の復習として、金沢で起こった事件を時系列順に並べ、立て続けに起こった事故の真相をそれぞれ整理していきたいなと思っています。もちろんこれはネタバレそのものですので、『春』の第2部を読了していない方で今後読まれる可能性があるという方、これより先の記述には絶対に目を通さないことをオススメします。

       ところで前回、第1部が完結した時にも同様のまとめを行ったのですが、その時は大人達の戦いの側面から物語を辿っていきました。今回もその様相がわかるようにまとめていきたいと思います。

       あと、先週の記事の最後に詳細な時間設定について説明させていただきましたが、今回も事故が起こった日付や曜日を念のために付していくことにします。本編ではそこは省略しているので日付そのものに大きな意味はないのですが、参考にということで。先週より引き続き2027年のカレンダーの代用として、2010年度版のカレンダーの4月を手元に用意してご覧下さい。




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       2027年 4月 金沢市連続空間事故の真相

      発端 金沢市黒井交差点交通事故 2026年 7月31日 (金)
       さかのぼること8ヶ月ほど前。全国で電脳ナビ搭載車の奇妙な交通事故が相次いで確認されていた時にその事故は起こった。被害に遭ったのは金沢市在住の母子、桐野恵と桐野詩織。幸い2人は命だけは取り留めたものの、意識不明の昏睡状態に陥った。当初はご多分に漏れず電脳ナビ搭載車が起こしたその事故の原因は不明とされるはずだったが、警察はこれを運転手の過失と判断し彼を逮捕する。(時系列的にはアニメの「カンナの日記」の辺りを想定)

      ・メガマス金沢支社の「新空間計画」 2026年 9月〜
       金沢支社長と当時まだ幹部の列席にいた神崎信明は、この月にあるプロジェクトを立ち上げた。彼らはこの年の夏に起こった一連の事件の概要を掴み、金沢に残されていたコイルス社の実験空間から小此木宏文と猫目技師の研究を、本社を出し抜いて引き揚げることに成功していた。その研究を元にして始められたのが「新空間計画」。2人の研究者の資料には誰でもイマーゴ能力が使えるようにするための手段が書かれていた。それには空間自体を改良することが必要だった。プロジェクトチームはその資料に従い、”あっち”を改良した空間を完成させる。
       そしてもう1つ神崎の指示によってプロジェクトチームは手を加える。それはその空間を現実世界のパラレルワールドに仕立てることだった。これにより金沢市の街並はもちろん、金沢市民約45万人の容姿、仕草、思考さえも再現した空間が出来上がる。その完成は、金沢支社が発掘したある天才技師の力に依るところが大きかった。
       しかしそこで問題が浮上した。元々極秘裏に開発されていたこの空間を、実用化に向けての実験も兼ねて、どこかに隠すことが必要になったのだ。プロジェクトチームはかつてサーバーを違法に占有していた”あっち”に倣い、その「新空間」を同じようにサーバーのはざまに落とし込んでいった。これで偽装は成ったかと思えば、今度は空間の安定性が損なわれた。
       そこで神崎はあることを思いつく。かつて吹けば飛ぶような”あっち”という違法空間が長く存在し得た理由、それはその空間を維持しようという力が働いていたからに他ならない。その力の源はミチコだった。彼女には空間の安定をもたらす力があった。それに目をつけた神崎の指示でかつての彼女の記憶も拾い集められ、彼女は復活する。それを行ったのも、プロジェクトの中心にいる例の技師だった。
       そうして再び命を与えられたミチコは「新空間」の神として、その世界を安定させることだけを命じられた。ただのプログラムである彼女は、その命令を忠実にこなすことしかできないはずだった。

      ・ミチコの覚醒 旧大黒ビジネスホテル空間事故 2027年 4月1日(木)(本編第12話)
       「新空間計画」は金沢と大黒の両都市で進められていた。そしてミチコはこの時、大黒の方の空間にいた。ところが、その大黒の「新空間」が眠る、今は廃ビルとなった旧大黒ビジネスホテルで別の事故が起こった。その首謀者はかつてミチコと取引をしようとした猫目宗助。巻き込まれた大勢の子ども達の中にはミチコの生みの親の1人、ヤサコの姿が。ミチコはそこで宗助の操作していたかつての”あっち”に入りこみ、そしてヤサコもヌルに襲われてその中へ。深い因縁に引き寄せられた2人は再会を果した。ミチコはそこで来る未来の姿をヤサコに予言する。しかし一方で、ミチコの中にはヤサコに対する複雑な感情が芽生えていた。その時点でミチコはただ命令を忠実に実行するプログラムではなくなった。彼女は自我を獲得したのだ(これに関しては詳しく後述)。この出来事こそが、金沢市で後に起こる連続空間事故の引き金となる。

      ・第1の事件 金沢市黒井地区空間事故及び死亡電脳ペットに関する怪現象 4月8日(木
       それから1週間後。昨年の夏に痛ましい事故が起こってしまった金沢市黒井交差点近くで、今度は空間事故が発生する。事故の目撃者は、何の変哲もない空間に突然ブラックホールのような穴が開き、気がつくとメガネが破壊されていたと話す。そしてその直後から金沢市のあちこちで、既に死亡してメモリアルも届いたはずの電脳ペットが蘇生したかのように帰ってきたという話が聞かれ始めた。
       
      ・天沢勇子、中学校入学 4月10日(土)(本編第14話)
       昨年の夏の事件を乗り越えてたくましく成長したイサコはこの日、金沢市立夕日寺中学校に入学した。その日の朝ヤサコとの電話でお別れの言葉を告げたイサコは、今度は自分がヤサコのような存在になろうと胸に誓う。
       その次の日、金沢市を訪れた大黒第三小学校時代の担任であるマイコから、イサコは先月末から廃ビル事件に至までの大黒での異変について説明を受けた。

      ・第1の事件の調査開始 桐野沙織・金沢黒客との接触 4月12日(月)
       しばらくメガネのある生活から離れていたイサコだったが、ひょんなことから第1の事件の調査を始めることとなった。イサコは事件の噂を整理し、蘇生して帰ってきたという電脳ペットも見せてもらう。そこから事故現場である黒井地区に移動すると、そこで見た事も無い暗号を発見する。それを辿ってゆき、その暗号の使い手らしき少女を見つけた。イサコは少女との接触を試みるも失敗。すると今度はその一部始終を見ていたという男子3人組に絡まれる。その翌日からのやり取りでイサコは、金沢黒客と名乗るその電脳クラブとの協力関係を結ぶことに決める。

      ・第2の事件 金沢市立夕日寺中学校空間事故 4月14日(水)(本編第15話)
       例の暗号の使い手の少女は桐野沙織といい、同じ夕日寺中学校の生徒であることが判明する。イサコはもう1度接触を試みるがめぼしい情報は得られず。そんな折、そのサオリが学校で何やら怪しい動きをしているのを発見。金沢黒客と手分けしてそれを監視することに。サオリはやはり見たこともない暗号を駆使していた。そこから何を始めるのかと思っていた矢先、イサコは金沢黒客メンバーの幻影らしきものを見る。その怪現象に頭をかしげていると、今度は空間に黒い穴が開き始めている場面に遭遇する。そこにはサオリの姿が。イサコはサオリを止めようとするが、そこで強烈な地震に襲われ、しばし意識を失う。目が覚めるとサオリの姿も黒い穴もなくなっていたが、今のが黒井地区における第1の事件の真相なんだと確信する。幸いメガネは無事だった。

      ・第1・第2の事件の真相
       この2つの事故の首謀者はミチコだった。彼女は廃ビル事件の時のヤサコとの再会で刺激を受けて自我を獲得した。すると今度はもう1人の生みの親であるイサコに会いたがったらしい。プロジェクトチームもその時彼女を大黒の空間に置くのは危険だと判断し、金沢の「新空間」に移していた。その好機でミチコはイサコとの接触を試みる。しかし「新空間」はイマーゴの影響力が少なく、イサコの思念を辿ってイサコの位置を把握することできなかった。そこでミチコは強力なイマーゴの気配を辿ることにした。イサコレベルのイマーゴ保持者はそうはいない。最もイマーゴの気配が強いところにイサコはいるだろうという判断だった。しかしこれが悲劇を生む。
       第1の事件の現場にイサコはいなかった。ではなぜミチコはそこに「新空間」への入り口を開いたのか。それは彼女が、イサコとは別の強力なイマーゴ保持者をイサコと取り違えたからだ。イマーゴの気配だけでイサコを特定するのは限界があったのだ。
       この事故に黙っていなかったのがプロジェクトチームの指揮官、神崎だった。ミチコの意図するところはわからない。が、ミチコは入り口を開こうとしている。かと言って「新空間」の神である彼女を制止することは最早できない。そこで神崎はある手を打った。
       神崎に選ばれたのは他ならぬ桐野沙織。彼女の家族は昨年の交通事故の被害者で、今はメガマス病院に入院している。言い換えれば神崎がその身を押さえているということにもなる。サオリに選択の余地はなかった。
       サオリに与えられた任務は、ミチコが「新空間」への開くことを阻止すること。そのために神崎は専用の暗号を与える。サオリにかつての空間管理室と同じ役割を与えたのだ。神崎が彼女を使った目的は、「新空間」プロジェクトを嗅ぎ回る勢力への目くらましという意味もあった。一見メガマスにとって敵か味方かわからない得体の知れない少女の存在は、思惑通り金沢の空間設計室を混乱させた。そんな中、彼女は忠実にその任務をこなしていった。それはもちろん、母と姉のためでもあった。
       第2の事件でミチコはイサコの位置を特定したようだった。学校において空間の異変を観測したサオリは授かった暗号を駆使して、なんとか入り口の出現を抑えようとする。しかし惨事にはならなかったものの、入り口は開いてしまい、そしてそこをサオリはイサコに見られてしまった。イサコはこれによりサオリが入り口を開いたものだと勘違いする。サオリは任務上、このことを他言できないという葛藤を抱えることになる。
       また、第1の事件の直後で死んだ電脳ペットが帰ってくるという現象が起こったこと、第2の事件でイサコが金沢黒客メンバーの幻影を目撃したこと、それは「新空間」がパラレルワールドであることが起因している。この2つの事件で、電脳ペットなどの「新空間」の住人が、その入り口から通常空間に入りこんでしまったのだ。ただしそれが”人”であった場合、通常空間では長く生きられないらしい。そのため結局帰ってくる電脳ペットだけが話題になった。
       
      ・第3の事件 電脳ペットの集団奇怪行動及び電脳ナビシステムの誤作動 4月19日(月)
      (本編第16話)
       第2の事件の翌日に、大黒の空間管理室に勤めていた一郎と玉子は金沢に派遣された。目的は立て続けに起こった2つの事故の調査して、大黒での事件との関連性を確かめるためである。
       一方イサコの方は自称雑誌記者大谷英夫なる男に声をかけられる。彼はイサコ達と同様に第1の事件の真相を調べるうちに、サオリの正体を追うようになったという。イサコは警戒を解かなかったものの、大谷と手を結ぶことに決める。
       第2の事件からしばらくは静かだった金沢市。そんなところでメガマスはかねてから決定していたメガネの不具合の公表に踏み切った。同時にその場で電脳ナビシステムの無期限停止措置についても発表する。
       第3の事件が起こったのはこともあろうかまさにその日だった。仲間のユイと一緒に黒井交差点近くを歩いていたイサコは妙な空気を感じる。するとユイの電脳ペットが交差点に突っ込むように走りだしたのだ。イサコの機転でなんとかそのペットは軽症で済んだものの、同じく交差点に突っ込んできた電脳ペットが車にひかれてしまうというショッキングなシーンを目撃してしまう。後に話を聞く限りでは、このペットの奇怪行動は至る所で確認されたらしかった。
       またその日、イサコの接触してきた大谷のセダンが黒井交差点で後続車に追突されるという事故も発生した。その後続車は電脳ナビシステムでの自動運転中であり、その事故はシステムの誤動作と考えられた。

      ・第3の事件の真相
       この事件においても原因はミチコにあった。ただし厳密に言うなら、ミチコのAIをシャットダウンしたことにより、「新空間」に変異が起こったことが原因だった。
       神崎は第1第2の事件を受け、ミチコの暴走をなんとか食い止められないかと考えていた。しかし彼女の意志をコントロールできない以上、彼女自身の機能を止めなければならないという結論に至る。ミチコは「新空間」の安定をもたらすために生まれた存在だが、今その機能を停止すればどうなるのかという実験もかねてミチコを止めるという処置を施した。しかしミチコの力に依存していた「新空間」は案の定崩壊を始める。ただしそのしわ寄せは、サーバーを共有している通常空間の方にも押し寄せた。「新空間」は世界のすべてが電脳制御されているが、そのコントロールを失って通常空間において電脳制御されているものに干渉してしまったのだ。通常空間で電脳制御されているものというのは、主に電脳ペットと電脳ナビシステムがあげられるが、今回は特に電脳ペットに多大な影響を及ぼしたのだ。
       この事態を受けて神崎は即刻ミチコを復活させる。すると「新空間」はなんのことなく安穏を取り戻した。これによりミチコを停止することは最早叶わないことだと思い知る。神崎はミチコの生みの親である技師に、ミチコの意志をコントロールするプログラムの完成を急がせた。

      ・イサコとサオリの衝突 4月21(水)(本編第17話)
       一連の事故の真相を掴み損ねていたイサコは、サオリを重要参考人だと信じて何度も話し合いを持とうとしていた。しかしサオリはいっこうに心を開いてくれない。イサコはサオリが自分の過去と重なってますます気がかりになっていた。そしてサオリをウラで操る協力者がいるのではないかと推理していた。
       そんなサオリを追って黒井地区にやってきてイサコは、同じく事故の調査にあたっていた玉子と再会する。イサコは事情を玉子に話し、空間管理室の権限でサオリに事情聴取をとるように頼んだ。玉子もそれを受けてサオリに接触する。しかしサオリは玉子に対して攻撃を仕掛けた。それに失望したイサコは、もう力づくでサオリを止めるしかないと感じる。そこに金沢黒客も加わり、サオリと対峙した。しかしサオリは新暗号を駆使していてなかなか破れない。ところがそこに現れた大谷がサオリの暗号を無効化するという離れ業をやってのけ、形勢は一気に逆転した。かと思えば、今度はそこに飛来したキューちゃん達があろうことか金沢黒客を攻撃し始めた。結局それによりサオリを取り逃がしてしまう。
       今回の騒動でもサオリは一貫して「新空間」への入り口が開いてしまうのを防ぐために動いていた。そこに飛来してサオリを救ったキューちゃんも、サオリのバックにいる神崎の指示でプロジェクトチームが空間設計室からハッキングものだ。サオリはすっと勘違いされたまま、イサコ達の妨害を耐え忍んできた。しかしそろそろこれも限界だと感じ始めたところで、神崎はイサコの行動を封じるためにサオリにある指示を出す。そして最近事故について嗅ぎ回っている設計室に対しても手を打つことにした。

      ・黒井交差点交通事故の真相暴露 4月23日(金)(本編第18話)
       運転手の過失として処理されていた黒井交差点の交通事故は、実は空間設計室が管理しているサーバーの故障による電脳ナビの誤作動が原因だった。当然設計室はサーバーの点検を怠ったとして責任を問われるはずである。ところが当時の設計室のチーフはこれを隠蔽し、金沢支社上層部に申告して資料の改ざんを行った。さらにチーフは自らの身の安全を確保するため設計室を辞することに。上層部も彼から真実が漏れるのを嫌い、その後もメガマス関連会社で面倒を見ることにする。代わって設計室のチーフに就任したのが一郎の義弟である酒井友和だ。彼は交通事故の真相を一切聞かされず、警察の発表が真実だと思い込んでいた。
       ところがここに来てその真相が暴露される。その記事を書いたのは他ならぬ大谷だが、情報を彼にリークしたのは神崎の仕業だった。メガマスに反感を持つ大谷に、自社にとって都合の悪い記事をあえて書かせたのは、空間設計室の機能を停止させる口実を得るためである。
       空間設計室を業務停止にするのには理由があった。それはひとえにこの部署が本社の指示によってプロジェクトについて嗅ぎ回っているからである。実は本社の空間管理室本部長は、この設計室に一郎と玉子以外の調査員を既に送り込んでいた。むしろ、何かと動きの目立つ一郎や玉子を派遣したのは陽動の意味合いが強かった。本部長としては、一郎や玉子がプロジェクトの真実を掴むことなど期待していなかったのだ。
       ところがそれすらも見抜いていた神崎は、面倒なので空間設計室全体の業務を停止するように画策した。そのためにこれまで温めきたこの交通事故の真相を使った。
       かくして神崎の思惑通りに空間設計室の機能は停止する。チーフの友和は交通事故隠蔽の責任をなすりつけられて処分されることが濃厚となる。

      ・イサコの孤立
       一方でイサコにも受難が訪れた。『イサコはミチコを呼び出そうとしている。そして黒井地区の空間事故や先日の電脳ペットの集団奇怪行動の原因も彼女にある』と掲示板に書き込まれたのだ。その2つの事故で何らかの被害を被っていたクラスメート達は一斉にイサコを責め立てた。それは真実ではないとイサコは主張し続け、仲間達もイサコをかばうも、クラスメート達はいきり立ってそれを聞こうとしない。あげくその仲間達にも怒りの矛先が向けられ、言われも無い誹謗中傷を受けるのを見てイサコは耐えられなくなった。彼女は自分のメガネを壊してもいいとクラスメートに差し出そうとする。しかし寸前のところで先生がやって来て、その場は一旦おさまった。
       この書き込みを行ったのはサオリだ。イサコの行動を封じるには、他人にイサコのメガネを破壊させることが望ましかった。イサコほどのメガネ使いと正面からぶつかり合うのはリスクが大きい。サオリは本意ではなかったものの、神崎の指示だったので断るわけにもいかなかった。
       
      ・サオリとの決着へ
       クラスメートからのバッシングで傷ついたイサコを、金沢黒客のメンバーは励す。その書き込みがサオリのものであることは、メンバーの1人が直接本人から確認していた。イサコはサオリとの決着をつけるために不屈の精神で再び立ち上がる。なんとしても彼女の行動を封じなければならないという決意で。
       また、金沢黒客のメンバーはサオリが次に行動を起こす場所と日時に関する情報を得ていた。イサコはそれに備えて、サオリの暗号を無効化するために暗号を組もうと試みる。やたらとスキルが高い大谷の協力と、玉子ルートでメガばあからの支援も得て、イサコはついにそれを完成させる。これでようやくサオリの行動を封じる準備は整った。

      ・第4の事件 イベント会場空間事故 4月25日(日)(本編第19話)
       この日、メガマス金沢支社に隣接する緑地公園広場ではメガネゲームのイベントが開催されていた。サオリは神崎の指示で、このイベント会場でミチコが「新空間」への入り口を開かないように警備していた。それは第1の黒井地区での事故を受けてのものだ。あの時はイサコと同レベルのイマーゴ保持者がその場所にいたために事故が起こってしまった。今回のイベントは1000人以上の子どもが集まるという。確率的にも同レベルのイマーゴ保持者がその中に紛れ込んでいる可能性は高い。そのために入念にサオリは暗号を仕掛けていった。
       ところがその暗号はことごとくイサコ達に解除されてしまう。イサコ達はサオリがこのイベント会場で何らかの行動を起こすものだと見て、迅速にそれを阻止するために行動していたのだ。サオリにとって誤算だったのはイサコ側にいる大谷の暗号のスキルがとんでもなく高いことだった。神崎から与えられた新暗号はそうそう破られるものじゃないと思っていたサオリは、この事態に愕然とする。ミチコに狙われているイサコが会場に現れ、入り口の出現を封じる暗号は解除されてしまった。かくしてミチコがこの会場で「新空間」への入り口を開く条件はきれいに整った。
       サオリはイサコのことを嫌ってはいなかった。むしろ何度も拒絶しているのにも関わらず親身になって相談にのってくれようとするイサコに、冷淡な言葉をかけたり、バッシングにつながる書き込みをしたのを申し訳なく思っていた。しかしこれまでは任務のために素性を明かすことはできなかった。
       しかしこうなってはイサコがミチコに連れて行かれてしまう。サオリはその思いからここでイサコにすべてを打ち明けた。次に愕然としたのはイサコだった。
       一方の神崎はサオリの任務失敗を受けても平然としていた。もはやここでの事故はプロジェクト自体に影響を及ぼすものでもない。むしろ事故によってメガネの信頼が落ち込むことの方が神崎にとっては好都合だった。既成事実として完成間近に迫っている「新空間」プロジェクトをメガマス再建の切り札として本社に公認させることが、金沢支社長の目論見だからだ。本社が窮地に立たされることにより、社長がプロジェクトを認めざるを得ないというシナリオは現実味を帯びる。神崎と支社長はこの件には一切干渉しないで見物を決め込むことにした。
       なんとかミチコが入り口を開いてしまうのを防がなければならなくなったイサコ達はサオリとも協力して大胆な作戦をとる。ミチコに狙われているイサコを囮として残し、後のメンバーはイベント自体をぶち壊しにして集まった子ども達を会場から追いやるというものだ。それが完了した後、イサコも会場を離れれば事故は防げるという計算だった。
       ところがメンバー達の読みは外れ、ミチコはイベント会場の中心に入り口を出現させた。イサコはそこに飛び込んでいき、暗号炉を起動させて物理結界を放ち、入り口であるブラックホールを封印する作戦に出る。しかしミチコの強大な力はイサコ1人で食い止めることができず、イサコの電脳体はミチコにさらわれてしまう。
       「新空間」に入り込んだイサコは、そこが現実世界のパラレルワールドであることを知る。そしてミチコからは、ミチコの生みの親である技師がメガマスに対する復讐を果たそうとしていると聞く。その復讐劇が近く大黒で起こることも。その技師もサオリの家族か親戚であることをイサコは直感する。ミチコはそれらを伝えたいがためにわざわざイサコを連れていこうとしていたという。話が終わるとミチコはすんなりとイサコを現実世界に戻した。

      ・大黒行きへの決意 4月26日(月)
       なんとか現実世界に戻ってこれたイサコは体も特に異常はなく、翌日月曜日には退院する。イサコはそこで事情聴取を受け、ミチコの言葉を本社の調査員に伝えていた。
       サオリを含めたメンバーでミチコの言葉について相談し合ったイサコは、連休中に大黒市に行き、今回のことを大黒のメンバーに伝えることにした。ミチコの予言するような事故をもう起こさせはしないという思いで。
       一方プロジェクトチームの方でも動きがあった。暴走していたミチコの意志をコントロールできるプログラムを、例の技師が完成させたのだ。これで「新空間」には本当の安定がもたらされるはずだった。
       
      ・サオリの失踪 4月27(火)
       「新空間」に入り込んだイサコと、これまでプロジェクトチームの指示で動いていたサオリには本社がボディガードをつけていた。それはもちろんプロジェクトチームが秘密保持のためにこの2人に手を出すのを防ぐためだ。
       ところがイサコが玉子から聞いたところによると、サオリは本社の事情聴取では非協力的だったらしい。特にサオリが1人で事情聴取を受けた時には何も話したがらなかったという。イサコは自分たちにはすべて打ち明けてくれたサオリのその行動を訝しんだ。そして何かまだサオリが秘密を抱えているのではないかと思った。
       そうイサコが考えていた矢先、サオリは金沢市から姿を消した。イサコの不安は的中した形となった。


      ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
       
       すみません、長くなりました。以上で第2部についてはざっと振り返ることができたかなと思います。これが第3部への手がかりになれば幸いです。

       ところで復習の途中で後述とした箇所、今作のミチコに関しては少し解説が必要かなと思いまして、この場で説明させていただきます。アニメのミチコに対する僕なりの解釈が混じっているので、イマイチピンと来なかった方もいるかもしれません。

       まずアニメのミチコがどのような存在だったのか。あれは知能ではなくてプログラムなのだと僕は考えています。どう違うのかというと、プログラムというのは他律的に行動が規定されるものであり、かつそれを繰り返すだけしかできないというのが僕の中の解釈です。言い換えれば知能との違いは「意志」の有無です。

       アニメのミチコはもちろん多少は知能らしいものを持っていますが、基本的にその行動はある1つのルールによって規定されています。それは「イサコの幸せを守る」ということです。それを彼女の「意志」と呼ぶことも可能ですが、彼女は誕生した時点でそのような運命を背負わざるを得なかったのであり、行動の自由があったとは思えません。(哲学的な話を持ち込むつもりはないので、言葉の使い方が乱雑になってしまっているかもしれませんがお許しください)

       神崎が当初目指したのはこの行動原理を持つミチコです。つまり「イサコの幸せを守る」という部分を「新空間の安定をはかる」と書き換えれば済む話でした。ところがミチコを復活させた技師はそれを「桐野詩織の幸せを守る」としました。桐野詩織が「新空間」にいるのなら、その延長線上に「新空間の安定」という条件が存在しますのでそれはそれで問題は発生しません。

       しかし技師がミチコを人工知能AIとして復活させたのが問題でした。つまりミチコはプログラムから知能へと進化したのです。知能は先ほど「意志」を持つものと説明しました。ミチコがヤサコと再会することによって自我を獲得したというのは、「意志」を持つようになったと言い換えられます。ミチコは人格を手に入れて、自分が何をすべきかを自ら考えるようになりました。

       しかし「桐野詩織の幸せを守る」という行動原理は失われていません。それを念頭に置きつつミチコは余計なことをし始めるんですね。金沢編で言えばミチコは「イサコに会いたい」という意志を持つようになって、それが一連の事件を引き起こしたということになっています。

       そして金沢市編ラストで技師が完成させたプログラムは彼女の意志を完全に制御するものです。これによりはじめの冷酷な感情のないミチコ状態に戻るのかと言えばそうではありません。ミチコは自らの考えや意志を持っているにも関わらず、その意志に反する命令にさえも逆らえなくなるということです。神崎の指示を無視することができなかったサオリのようになるということですね。この辺りは第3部にて、物語の核心に関わってきます。

       というところで、第2部に関しては以上を持ちまして完結を宣言したいと思います。サイドストーリーも書きつつ、今回の総復習も書き始めてから後悔するほど長々したものとなり、もちろん本編の長さも言わずもがなですが、とにかく疲れました。やっと第3部に入ったというのにバテバテです。

       そういうことなので、当ブログは来週からしばらく軽めの内容で済ませようかと思っています。と言いますか、取り上げるネタの問題で後2週分は書く内容は決めてあるのですが、それ以降はまったく考えておりません。少しばかり第3部を本腰入れて書きたいなとも思っていますので、10月末から11月はブログ全休も視野に入れています。本当に勝手を言いまして申し訳ありませんが、ご理解いただければと思います。

       その向こう2週間ですが、読書の秋フェアということで、「川島の本棚」を2週続けてお送りしたいと思っております。次週予告ですが、電脳コイルファンなら誰もが1度耳にしたことはあるはずである『六番目の小夜子』をご紹介いたします。そこでは此花先生のレビューもいただけることになっていますので、乞うご期待です。

       それでは『電脳コイル 春』第3部。どうか最後までお付き合い下さい。








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      2015.02.13 Friday 23:10
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        コメント

        どうも、川島です。

        こちらもまた別の場所で書かせていただきましたが、祝辞のお言葉ありがとうございます。このように一気に書き出してみると長い物語だなあと思いますが、これも色んな出来事がひとつずつ積み重なってできているんですよね。実は元々こんな詳細なプロットなんて書き出してはいないんですよ。随分先まで予定を立ててみてもその通りに進んでくれないというのは第1部で思い知ったところで、とりあえずきちんとした本筋を用意して、その道からは大きくそれないように気ままにドライブしているという感じです。この方法で後々ほころびが出ない事を祈るばかりですね。

        第3部の見所は此花さんのおっしゃる通りミチコの今後であり、それからずっと名前を伏せている例の技師の正体、そして神崎氏が進めているプロジェクトの真実などなど、とりあえず今までの伏線全部回収しなければならないので忙しくなりそうです。
        | 川島奏 | 2010/10/14 11:37 PM |
        こんにちは、此花です。

        別の場所でも書きましたが、改めて第2部完結、お疲れさまでした。こうやって改めてこれまでの粗筋を見ていくと、川島さんの巧みなプロットを作り上げる想像力に嘆息するのと同時に、それを躍動感のある物語となしていく手腕にも感服しました。また、独自のミチコ解釈が物語にどんな波紋を呼んでいくのかも目が離せないところですね。いよいよ幕を開けた第3部がどんな展開を見せるのか、これからも楽しみにしております。

        さて、『六番目の小夜子』紹介の栄誉を賜りまして光栄です。原稿のほうも順調に遅れておりまして申し訳ありません。週末までには連絡致しますのでしばしお待ちを。
        | 此花耀文 | 2010/10/09 3:18 AM |

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