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2015.02.13 Friday
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    連載1周年・第1部完結・第2部突入記念特集

    2010.03.26 Friday 23:33
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       はい!『電脳コイル 春』は、さきの3月24日に連載1周年を迎えました。そして、まるではかったかのように先週第1部が完結しまして、昨日の更新から物語はいよいよ第2部に突入しております。これはまったくの偶然なんですけども、ちょうど分量的にも折り返しということで非常に気持ちがいいです。そこで今回はですね、この1年を軽く振り返りまして、また反省点なども出しつつ、第1部の簡単な復習をしたいと思います。それは今後の第2部にもつながっていきますので、ここで1度整理してみてください。まだ第1部を読まれていない方はネタバレ注意です。

       それから、最新話を読まれた方ならお気づきだと思いますが、小説の背景色を淡い桜色に変えてみました。第2部に入ったということで気分を切り替えるということもあるんですが、やはり小説の雰囲気に合わせようかと思いまして。もしですね、これじゃ読みづらいというのがありましたら言ってくださいね。

       さて、本当にあっという間だったこの1年。おそらく1日たりとも電脳コイルのことを考えなかった日はなかったと思います。その辺の小説執筆の反省は昨年末にこのブログでも書いておりますのでここでは省きましょう。今日はみなさんに1つお詫びをしたいと思います。

       登場人物の問題なんですが、一応ですね、『春』にはアニメ「電脳コイル」の主要登場人物をほぼ網羅して登場させているつもりです。第1部ではイサコは名前だけしか出てきませんでしたが、それは第2部をイサコを中心とした金沢編にするという構想があったからです。しかし「電脳コイル」の主要登場人物でありながら『春』ではほとんど出番のないキャラが思いつくかぎりで2人います。みなさんは誰だか思い浮かびますかね。

       1人はヤサコの妹、京子です。『春』では第2話のはじめにちょこっと顔を出したのと、第13話の本当にラスト、ヤサコと共に入学式に向かう場面でしか登場していません。そんなことをいちいち覚えているくらい出番がないんですよね。アニメ・オフィシャル小説では結構な存在感を出しているんですけど。

       その明確な理由が自分でもよくわからない。おそらく1番の理由はストーリーに絡ませにくいというのがありますかね。京子の役柄はとにかくトラブルメーカーという印象が強いんですが、そうなるとほとんどアニメの京子とやっていることが変わらないのでつまらないかなあと考えたのだと思います。それに『春』の場合は、トラブルメーカーは黒客の役割であって、その役回りがまわってこなかったのかなと。

       そしてもう1人はアイコです。彼女は第3話くらいまでは毎回登場していましたが、第4話に田舎に帰ってしまい、以降「いざ、決着の時」でモニターを通して出てきた以外はまったく出番がないです。大黒で大変な事件が起こっているにも関わらず。それでかわいそうなんで、第13話最後のコイル探偵局と黒客のお花見のシーンで登場させようかなと思ったんですが、それじゃ都合が良過ぎやしねえかと、それも断念しました。

       第4話というのは相当初期に書いたものなので、僕もなんでアイコを田舎に強制送還したのかイマイチ覚えてないんですよね。確かにアイコは電脳力には乏しく、ヤサコ達とは少し距離があります。そのアイコをどこまで事件に絡ませるかというのは難しいところですよね。オフィシャル小説の山田幸乃もいい具合にヤサコやダイチ達と絡んでいますが、そう言えば最近は顔見せねえなという印象があります。アニメでもシリアス展開になったあたりからはけていった感じで。

       彼女は電脳の事故とは無縁なキャラなのかなと思いつつ、あれこれ悩むくらいならいっそのこと大黒をしばらく離れてもらおうとあの時は考えたのかもしれません。いずれにせよ京子の件も含めて、ファンの方には彼女達が『春』で活躍の場が与えられていないことを、ここで深くお詫び致します。以降彼女達がどうなるかは、構想中です。

       さてここからは、第1部のポイントを復習していきたいと思います。非常に長かった第1部ですが、僕のやりたいこと、ポイントは非常にシンプルでした。1つはコイル探偵局と黒客の対立を描く。そしてもう1つが、アニメでそのまま放置された僕の腑に落ちなかった部分を解決させるということです。その骨格に加えて第2部と第3部に色濃く現れるこの小説のオリジナル展開の伏線を、せっせと張るというのが第1部の目標でした。

       まず1つ目ですが、アニメ・小説ともに案外コイル探偵局と黒客の対立構造が見えてこないなというのがありまして、それをはっきり書きたかったんですよね。この『春』の展開は、小説版の序盤から中盤にかけての展開の逆です。小説版の彼らは、まず対立があって、そこで決行した学校での肝試しで起こった事件を調べるために結託する、という流れでした。それはそれで面白いのですが、やはり物足りないと感じる部分もあって、それは対立関係にある時の彼らの心情描写だと感じていました。なら『春』ではその逆をやろうと、そう思ったわけです。『春』は結託→対立という流れでした。最終的にはですね、元の鞘におさまった以上に、両者はよりかたい絆で結ばれたように思います。アニメの最終回の中学生になった彼らの1カットにも合わせたかったですしね。

       そしてもう1つの方ですが、僕がアニメを見て1番腑に落ちなかったのは宗助ですね。結構な罪を重ねた宗助が、最後には失踪してしまうと。それはそれで永遠に闇の中を彷徨うのと等しい罰でもあると思うのですが、やはり形のある何らかの罰を宗助には与えたかったというのが本音です。1番は取り残されたタケルの気持ちはどうなるんだということで、やはり宗助にはしっかり罪を償っていただいて、元の兄弟に戻ってほしいなと思うわけです。もちろん、お縄についた宗助は今後も重要なキャラの1人です。何やらメガマスも知らないような情報を握っているような素振りですが、果たして。

       第1部の復習ということで進めていますが、ここからは特に書いている僕でもややこしいなと思った部分、メガマスや警察内における組織の対立構造を整理しておきたいと思います。この小説は子どもの世界に加えて大人のビジネス世界の闇を同時に描いているつもりですが、やはり後者はややこしくなってしまいます。図示できないのが残念ですが、できるだけわかりやすくこの複雑に絡まった世界を紐解いてみたいと思います。

      ・メガマス
       作中のメガマスは現在、水面下で旧幹部達と戦っています。旧幹部達とはメガネの不具合に気付いていながらもそれをひた隠しにしていた保守派のことで、あの夏の事件を解決を期に、社長桝田章太郎はじめ、前社長などメガマスお偉方の判断で無期謹慎の処分を受けました。しかし旧幹部達はこれで終わったとは思っておらず、現社長桝田をひきずりおろし、元の地位への返り咲きを狙っています。
       彼ら旧幹部は、はじめはこの状況を楽観していました。メガマスの上層部はまだ経験の浅い次世代に取って代わったわけですが、それは同時に会社の舵取りも困難になるという一面もあります。また、メガマスの業績は確実に落ちはじめていました。あの夏の事件でメガマスは強制フォーマットを実行したことを契機に、メガネの信用が失われ始めたというのが主な原因です。メガマスは世界的大企業ですが、しかしもちろんその経営は銀行の融資で成り立っています。もし今の業績悪化を銀行側が危惧すれば、その立て直しに銀行が旧幹部達を元の地位に戻すという可能性は十分考えられました。まして桝田は今までのメガネにまつわる不祥事をすべて公にすると公言していたので、銀行側の不安も確かに存在していたのです。
       その状況はもちろんメガマスの新幹部達もわかっていました。その新しいメガマスの経営立て直しの切り札として進められていたのが、一郎を責任者とする「電脳医療補強プロジェクト」です。このプロジェクトは、猫目技師と一郎の父である宏文が開発した電脳医療をより完成形に近づけるというものです。具体的ま目標は、誰もがイマーゴを使えるようにし、イサコが受けたのと同じ精神治療システムを安全かつ普遍のものとすることです。このシステムが完成すれば現代医療は飛躍的な進歩を遂げると考えられていました。
       そしてもう1つメガマスは手を打とうとします。旧幹部達の復帰の芽を摘むため、隠蔽を行った彼らを社会的法に則って裁くことです。そしてそれは、カンナの死が誤解されていたことを悲しんでいたハラケンの意志とも合致しました。そこでメガマスはこの訴訟を成立させるために、検事の桜井仁に相談を持ちかけます。桜井の話では、カンナの事故の真相を確かな証拠で立証できれば、旧幹部達を裁くことができるというものでした。そこでメガマスは、桜井のルートから大黒警察のある部署に、カンナの事故の再調査を依頼することにしました。

      ・警察
       カンナの事故の再調査を依頼されたのは、大黒警察内における小規模な部署、竹下直樹を責任者とする電脳犯罪対策係でした。そして県警交通課の刑事のうち何人かもこの再調査に参加することが決まります。
       そもそもカンナの交通事故の真実は、当時の大黒警察の交通課に、メガマスの旧幹部達が圧力をかけてもみ消したというのが真相です。大黒市政に大きな影響を与えているメガマスなら、警察に介入することは当時は簡単なことでした。しかし今回の再調査は、とにかく極秘裏に進めることが絶対条件となっていました。この再調査とメガマスとの関係は公にされてはいけない理由があったのです。
       実は既に旧幹部達はこの再調査に関する情報を掴んでいました。この再調査が完遂されれば、自分たちの立場はますます危なくなると彼らは考えます。そこで彼らは警察組織全体に圧力をかけるということをやってのけました。
       彼ら旧幹部達は在職中に色々と政界の要人達との人脈を作り、このような事態に備えていたのです。彼らは親しい警察官僚に口利きをして、県警と大黒市警への監視を強化するように依頼しました。もちろん目的は、事故再調査の阻止。これによりカンナの事故の真相は彼らが作り上げた虚構が絶対的真実となり、それを覆そうとするメガマスは警察への介入を行おうとしている悪として社会的には認知されます。これではもちろんメガマスは慎重に動かざるを得なくなります。彼らはその再調査を、電脳犯罪対策係に託すほかなかったのです。
       その再調査も思うようにいかなかったのですが、直樹達は一筋の光を見いだします。事故の真相を必ず知っているであろう、猫目宗助が大黒市で目撃されるようになったことです。

      ・株式会社サイバーゲートウェイ (CGW)
       宗助もメガマスの失墜を目論む1人でした。彼は失踪中に拾われたCGWにおいて、メガマスへの復讐計画を立てます。そこで目を付けたのはメガマスが切り札にしている「電脳医療補強プロジェクト」において開発された、「空間制御システム」でした。
       メガマスに送り込んでいたCGWの内通者の活躍により、宗助達は「空間制御プログラム」のハッキングに成功します。そして大黒市内での実験を繰り返し、ついに計画を実行に移しました。それが2027年4月1日の交通における電脳ナビシステムの誤動作を生み、そしてその日の夜、4人もの子ども達が意識を失うという事件につながります。しかしその計画は失敗に終わり、宗助達はその日のうちに大黒市から撤退します。

      ・旧幹部達のメディア操作
       旧幹部達は宗助の行動を見て喜びます。4月1日の事件は、メガマス現政権に確実にダメージを与えるものとなったからです。さらに旧幹部達はメガマスを畳み掛けるために、積極的にメディアに情報を提供しました。自分たちが在職中とは逆の事を行ったのです。これにより、「空間制御プログラム」や「電脳コイル現象」の存在が社会で着実に知られることになりました。メガマスはそこで当初の計画を前倒しにして、すべての真実の公表を決意します。旧幹部達のメディア操作によって暴かれるくらいなら、迅速に自分たちからそのことを発表した方がまだ社会的な体面を保てると判断したのです。

      ・宗助の逮捕
       一方電脳犯罪対策係は、事件の翌日に思わぬ情報から宗助を逮捕します。宗助はそれをメガマスに潜んでいたCGWの内通者の裏切りだと考えました。
       直樹達は宗助の逮捕により、カンナの事故の再調査も道が拓けたと安心します。しかしその現場に現れた大黒市警刑事課の刑事達は、執拗に猫目の身柄の引き渡しを要求しました。これは、旧幹部達に圧力をかけられて大黒市警内部を監視をしている部署が、この刑事課であったことを直樹に直感させました。旧幹部達はこれで猫目の身柄を押さえたことになり、再び事故の再調査への道は閉ざされてしまったのです。

      ・神崎の暗躍
       メガマスの幹部の中で、唯一の旧幹部の生き残りが神崎でした。彼は表面上ではメガマスのためを考えていると見せて、事件の時は社長の桝田に知恵を貸していました。しかしその一方で問題発言が多いのも事実。社長の桝田は彼をそろそろ幹部の座から下ろそうと考えます。
       しかし神崎もウラで何かを進めているようで、一連の事件の展開はすべて彼の思い通りに運んだ模様。果たして彼の真の目的とは何か?そして、彼と電話で話していた人物の正体とは? 

       
       これで一応、第1部を大人のビジネスの世界から簡単に振り返ったことになります。何が簡単なんだか。非常に書いていて疲れました。しかしこれがみなさんの物語の整理に役立てられればと思います。

       次回はこのブログで連載中の『大黒市黒客クラブ戦記』の第5話をお届けします。それでは今日はこの辺で。


       

       

       


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      2015.02.13 Friday 23:33
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        コメント

        どうも、川島です。

        此花さんの書かれている通り、「ウンチ!」を連呼する京子は苦手です。なんと言いますか、この字面でせっかく一生懸命書いている小説をビジュアル的に汚されたくない、というのが本音かもしれません。京子も小学校に進学したので、そろそろまともな言語をしゃべらせるのも不自然でもなくなってくるかもしれませんが。

        あとモジョは僕も出す予定ですが、極力鳴き声を発しないようにします。重複表現になるとリズムが損なわれますからね。モジョが出て来たら「モジョモジョ」言っているものだと思ってください。

        最後に宗助ですが、さて今後はどうなりますやら。僕としてはとにかくタケル君に謝ってほしいですね。そのために逮捕したんですから。

        では本日はこの辺で。

        | 川島奏 | 2010/04/01 11:36 PM |
        こんにちは、此花です。
        すみませんが私も少々割り込ませて頂きます。

        京子とアイコはやはり描きづらいキャラクターですよね。
        まず京子は台詞が基本「ウンチ!」なので、ビジュアル情報がない小説では辛いです。本編でも、ストーリーの都合上妙にまっとうな台詞の多い『黒い訪問者』なんかは正直見ていて違和感がありました。蛇足ですが同じような理由でモジョも使いにくいです。大体、「『モジョ!』モジョは〜した。」という具合に台詞と主語をつなげただけで重複表現になるのがいらいらする……
        アイコは精神構造がまっとうなのが私には厳しいです。どうも私にはどこかいびつな人間しか書けないようで。

        『春』の今後についてですけれど、イサコの描写に期待大なのは前にも申し上げた通りですが、実は宗助の動静も気になっています。逮捕拘禁という特異な立場からどんな暗躍を見せてくれるか、それともなんらかの方法で獄を抜け出すのか、楽しみにしております。
        | 此花耀文 | 2010/03/31 12:03 AM |
        どうも、川島です。kongdraさん、お久しぶりです。
        コメントありがとうございました。非常にこちらも励みになります。

        確かにkongdraさんのおっしゃる通り、京子とアイコは引き出しの多そうなキャラですよね。特にアイコのような電脳の世界からは1歩引いているキャラに、この電脳コイルの世界を語らせるというのも面白そうですね。単発のショートストーリーのネタとして考えておきます。

        それから物語の背景の説明がお役に立って光栄です。苦労して書いた甲斐がありました。これからも、『電脳コイル 春』をよろしくお願いします。
        | 川島奏 | 2010/03/28 11:02 PM |
        オリジナル小説第一部完結おめでとうございます。あの二人は、存在感はあるのだが、どこかストーリーに入りづらい微妙な特徴があるような感じがします。他のキャラクター以上に魅力的なストーリーを想像する余地はありそうなので、短編の、単体で主役を務められるような話なら、活躍の場はありそうな気がするとは思いますが。
        バックグラウンドの事情についての説明も本当にご苦労様でした。本編を追っていても、こういう複雑めのことはよく混乱してしまうので、改めて説明していただけると読後の再確認がし易くなり、ありがたいです。
        第二部に続く謎が、どう明かされるかなど、今後の展開を楽しみにしています。
        | kongdra | 2010/03/28 3:51 PM |

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