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    叙述トリックは諸刃の剣

    2014.04.05 Saturday 21:31
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      いつも閲覧頂き、ありがとうございます。

      約1ヶ月ぶりの更新です。
      すっかり温かくなりましたが、
      また冷え込んでますね。
      天気も悪いし、この時期には残念な週末です。

      前回、『折れた竜骨』のご紹介をしまして、
      次回はそのネタバレ覚悟の感想文を載せます、
      と宣言していましたが、あっさり覆します。
      ごめんなさい。

      あれから次々に本を読むうち、
      内容が頭から薄れていったんですよね。
      感想文は読後すぐに書かなきゃな、と反省しています。

      なので一言。
      本当に面白い小説なので、
      内容は読んで確かめてね。

      さて、今回のテーマは叙述トリックについてです。
      これまでも何度か取り上げたこともありますね。
      それに対する今の僕の所感を書き連ねます。
      毎度ながら、まとまりのない内容になると思いますが、
      ご容赦ください。

      まず、叙述トリックとは何ぞや、という方に対して、
      簡単な例をもってご紹介します。

      小説は文章だけで構成されており、
      絵が見えないという特徴があります。
      それを逆手に取って、
      著者自身が読者を欺くために用いる文章トリックのことを言います。

      例えばこんな感じ。

      日本でも屈指の規模を誇る大学病院に、
      外科手術で名の通った教授がいた。
      その教授が執刀したオペは、信じがたいことに、
      ほぼ確実に成功するのである。
      それゆえ教授は、周囲からはゴッドハンドと呼ばれていた。

      ある日、病院に急患が担ぎ込まれた。
      交通事故患者で、内臓破裂の疑いがあり、
      早急に手術をしないと危うい状態である。
      教授はその手術を執刀することになった。
      どんな大手術でも、平常心が揺らいだことはない。
      積み重ねた場数からくる圧倒的な自信を胸に、
      手術室へと踏み込んだ教授はしかし、
      その心臓を撃ち抜かれたような衝撃を受けた。
      手術台に乗せられていたその患者は、教授の夫だったのだ。


      このストーリーは、とある人からお聞きしたものを、
      僕なりの文章にしたものです。オリジナルじゃありません。

      これは、読者の先入観を利用した叙述トリックだと云えるかと思います。
      外科手術の名医、大学病院の教授、ゴッドハンドとくれば、
      大体の人は男性を想像すると思いますが、
      この話の教授とは女性だったというオチです。

      教授という言葉を連発しているのは、
      これを"彼女"としてしまえば、オチが読者にバレるからです。
      このように、著者は核心の部分意図的に伏せるよう、
      文章を構築していきます。

      読者からすれば、自分が想像していた世界が、
      見事にひっくり返される気分を味わうことになります。
      それが快感だと思う人がいるわけですね。
      僕自身がそうです。

      今、この手の小説がプチブームになっているみたいです。
      叙述トリックで有名になった流行作家さんもいますし、
      古い時代の叙述トリック作品も、改めて文庫が出版されたりしています。

      叙述トリックに初めて触れた時の衝撃は凄まじく、
      それで病みつきになっていた時期もありますが、
      今の僕が思うのは、これって諸刃の剣だな、ということです。

      叙述トリックは著者が読者に対して仕掛けるものなので、
      本来的に作中の登場人物とは何の関わりもありません。
      ストーリーと絡ませるのが非常に難しいのは、容易に想像できます。

      ですので、ストーリー上、
      別に叙述トリックを用いる必要はなかったよね、
      という作品が、結構たくさんあるのです。

      それはそれでいいと思います。
      作家さんは、叙述トリックを使いたいのですから。

      ただ、叙述トリックに比重を置くと、
      無理が生じてくるのはストーリーの方です。
      それに対して、小説を成立させるためにどうするか......

      ご都合主義に走らざるを得ないのですね。

      正直、叙述トリックの用いられる作品は、
      ストーリーが凡庸になることが多い気がします。
      中には、笑えるぐらい著者にとって都合の良い設定だな、
      と思った作品もあります。

      叙述トリックのための小説は、
      突き詰めるとそんなに魅力はないということです。

      そのくらいハードルが高いということですけどね。

      しかし、そのハードルを越えた作品というのもあるわけです。
      ストーリーと叙述トリックがうまく絡み合えば、
      後世語り継がれる名作にもなり得るんじゃないかと。

      僕がここまで語って、じゃあどなたを推すのかと云うと、
      ベタで大御所ではありますが、綾辻行人氏のほか思い浮かばないですね。

      ちなみに、これは僕自身が指摘されたわけではないのですが、
      この作品は叙述トリックが用いられていると公言するのは野暮ですよ、
      という意見をネット上で見かけまして、
      それは確かにと思ったことがありました。
      何の前情報もなく読み進めて、叙述トリックでどんでん返し、
      というのが一番楽しめますからね。

      ですので、今後は本のご紹介をするときは、
      そういったことは書かないようにします。
      過去の紹介文まで直すことはしないのですが。

      それではまた、良い本と出会えたら、
      ご紹介したいと思います。























































       
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