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    川島の本棚 第14回 『折れた竜骨』

    2014.03.09 Sunday 00:08
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      いつも閲覧頂き、ありがとうございます。

      日差しはもう春のものですが、
      しんと冷えた空気はまだまだ辛辣な3月、
      というところでしょうか。

      今日は小説のご紹介をしたいので、
      久方ぶりの川島の本棚です。

      もう少し『新世界より』で引っ張ろうかと思ったのですが、
      先日読了したものがあまりに面白かったので、
      ご紹介せずにはいられませんでした。

      今回取り上げるのは、
      当コーナーの第1回で取り上げて以来、
      最も思い入れの強い作家さんとなった米澤穂信氏より、
      まごうことなき傑作『折れた竜骨』です。















      画像は単行本のもの。
      上下巻で文庫本も出てるよ。





      さて。アニメ『氷菓』のヒットで、
      古典部シリーズは一気に人気沸騰。
      どこの本屋さんでも目立つところに置かれるようになり、
      僕自身も感慨深いものがありました。

      この学園ミステリーで知名度を高めた米澤氏。
      しかし、他の作品に触れていると、
      その引き出しの多さにただただ感服してしまいます。

      おそらく古典部シリーズから入った方は、
      この『折れた竜骨』が同じ著者のものとは、
      夢にも思わないでしょう。

      本作は剣と魔術の世界を舞台に繰り広げられる、
      本格ミステリー・ファンタジー風冒険大活劇だからです。

      米澤氏の得意とするのは、
      なんといっても緻密なロジックからなる、
      本格ミステリーです。

      それを一見なんでもありに見える、
      ファンタジー世界でやってしまったというのがこの作品。
      作中のセリフにも出てくるこの作品のテーマは、
      "理性と論理は魔術をも打ち破る"です。

      物語は12世紀末のイングランド。
      大小2つの島からなるソロン諸島。
      ファンタジーではありますが、
      史実に基づいた舞台設定になっています。

      エイルウィン家によって治められるソロン諸島は、
      一見平和に見えるのですが、
      国内外の様々な脅威にさらされている状況でした。
      そんなとき、エイルウィン家の当主が、
      何者かによって殺害されます。

      その当主殺害の実行犯を突き止めるのが、
      この物語の軸となります。

      上述したように、魔術の存在する世界ですから、
      まともに推理などできないように思われます。
      しかしそれではミステリーとして成立しません。

      米澤氏は魔術によって作品が崩壊しないよう、
      これもまた緻密な設定により、
      この殺人事件が合理的な解決へと導かれるように、
      世界を構築されています。

      以前、"物語を支配するルール"という記事を書いたことがありました。
      著者はこのようなファンタジー小説では、自由な設定ができます。
      しかし、物語を引き締めるために、著者はその世界におけるルールを、
      細かく設定しなければなりません。そのルールの範囲でのみ、
      著者は物語を展開させ、収束させなければならないのです。

      著者が自ら決めたそのルールを破るのは、アンフェアです。
      が、著者はまた、そのルールの下で読者の予想を裏切らなくてはいけません。

      これだけのことをしようとすると、
      ハードルはどうしても高くなってしまうと思います。
      しかし、この小説はその点の完成度が非常に高いです。

      つまり、魔術が存在するこの突飛な世界観においても、
      事件の解決部分は論理的で読者を納得させるだけのものがあり、
      かつそれが、衝撃的な結末を迎えるのです。

      各所で高い評価を受けている作品だけあります。
      物語構築においては芸術の域と云っても過言でもないかと。

      さらに、冒険大活劇と上述したように、
      事件が起こって推理、謎解きという、
      オーソドックスなミステリーの展開に加えて、
      非常に手に汗に握る戦闘シーンも見られます。
      これは米澤氏の作品では珍しい。

      しかもその戦闘シーンまでも、
      謎解きの伏線になっているというのが、
      なんとも巧妙です。

      ほかにも、些細な描写でさえ重要な伏線になっている部分もあり、
      登場人物(容疑者)たちの一挙手一投足から目が離せません。
      また、多種多様な文化をもって登場する彼らは、
      一様に謎をまとっており、とても魅力的に描かれています。

      皆様も是非、剣と魔術の織り成す極上のミステリーを、ご堪能ください。

      以上、米澤穂信氏の『折れた竜骨』をご紹介しました。

      と、いつも紹介文を書いているだけだと、
      皆様に内容が伝わっているのか不安ですし、
      何より僕自身が消化不良です。

      ですので、今度はネタバレ必至の内容で、
      細かい感想を書こうかなと思っています。

      これから読む方は、その記事は見ないでくださいね。
      読み終わってから見てくださいね。

      それではまた。
      暖かくなる頃にお目にかかることができればと思います。







       
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