先週の記事で此花さんと連絡が取れない状態であるとお伝えしましたが、1週間が経過した今も状況は変わっておりません。
ネット上だけの関係というのが何とも歯がゆいものだということは、今改めて実感します。此花さんが今どういう状況にあるのか、僕には掴むことができません。
此花さん自身についても大変心配ではありますが、こうなると考えておくべきは、連載中の『電脳コイル 3.00』の今後でしょう。
二次創作物の規制で、此花さんが連載場所を移されたのはつい最近です。ブログ開設間もなくこのようなことになるとは想像もしていませんでした。物語を移し替える時に、パートごとで文章の微修正をされたという此花さんは大変几帳面な方で、今の音信不通がなおさらただの放棄とは思えないわけです。
それに、物語としてもいよいよ佳境にさしかかっているところです。前話で一つのヤマを越えて、あとはクライマックスまで流れに乗っていきましょうというお話をしていたところです。
共同作品として立ち上がった本作。もし、此花さんが執筆できない状況にあるならば、その完結の責任は僕の方にまわってくるものと思います。
その点について、今の僕の胸中を記しておきます。
この作品も構想してからはや2年の歳月が流れました。早いようですが、随分昔のことのような気もします。
当然僕は、今後の物語の流れ、結末を知っています。細かい部分は忘れていますが、あの時に此花さんと交わしたやりとりは今も文章として残っていますので、どうにかそれを掘り起こして構想の骨子になぞって執筆することはできるでしょう。
ただ、この作品について僕が常々感じていたのは、もうほとんど僕の手から離れたな、ということです。
どういうことか。最近よくこのブログにも書いていますように、物語は人間ドラマだと僕は思っています。登場人物1人1人の感情は書き手の都合で左右されるものではない。つまり、どれほど最初に筋書きを固めようとも、その通りに物語が展開するはずがないのです。
その登場人物達の感情を汲み取るのは執筆者の役目です。此花さんは此花さんの感性でキャラの心情を読み、その動向を記していらっしゃいました。そこに不自然があれば、原稿チェックをしていた僕が指摘し、軌道修正をはかっていたのです。
それでも段々とキャラは執筆者のものになっていきます。此花さんはできるだけ最初に筋書きに近づけようと努力されていたと思いますが、それでも大きく展開を変える必要に迫られることもありました。
逆に僕としては、執筆者の感性でキャラは動いてしかるべきだと思っています。ですからそういった変更も致し方がないと考えていましたし、不満を感じているわけではありませんでした。
その代わり、上述したような印象をこの作品対しては抱いていました。共同作品というものに取り組んで、その点は非常に勉強になったなと思っています。
そんなところで執筆者が代わるというのは、作品上は決して良くないというのは明白です。此花さんの感性と僕の感性はまったく異なっていて、ここから完全な別作品になる可能性も大いにあります。それに、此花さんと僕の文章スタイルもレベルも違うのは、皆さん御存知の通りです。
そもそもこれまでの伏線の仕込みも、此花さんの頭の中で細かい計算があってなされていたということもあり、僕ではすべてを拾いきれないとは思います。
とはいえ、未完結のままにするのが最良ということはないでしょう。これまで述べた弊害があっても、どうにか完結することが読者の方の望まれていることだとは思います。
もちろん、此花さんがこれから復帰されることが一番です。その可能性も大いにあると思いますので、僕としてはもう少し待ちたいと思っています。期間をどのくらいにするかはわかりません。本当に僕が引き継ぐしかないという踏ん切りがついたなら、どうにか時間を工面して書き出したいと思います。
読者の皆さんにはご迷惑をおかけします。ですが、もうしばらく待っていただければと思います。
どうにか、此花さんの早い復帰を祈っています。