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    『マイブック』2012年 4月

    2012.04.29 Sunday 23:00
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        先週はちょい忙しくて、更新できず申し訳ありませんでした。今は小説を執筆しているわけではないので、せめてブログくらいは毎週更新としたいのですが、たまにはこんな時もありますわな。

       さて、新潮社からこのような文庫本が出ているのは皆さん御存知でしょうか?















       


       裏表紙を見ますと、こうあります。

      「マイブックには日付と曜日しか入っていません。これは2012年のあなたがつくる、世界に一冊だけの本なのです。どんな風に使うかはあなたの自由。手帳として用いるもよし、日記をしたためてもよし。誰にも想いつかないオリジナルな使い方を発見するのもこの本の楽しみ方の一つです。毎日使い続けて完成させたなら、他のどの本よりも記憶に残る、かけがえのない一冊になっているはずです」

       中身は文庫本の体裁をとった日記帳のようになっていて、なんとなく惹かれて買ったのがこの4月。340円。

       どう使うかなと考えたところ、僕が読んでいる本や、見ているドラマ(ほとんど大河ですが)などで、僕の琴線に触れた文章やフレーズを毎日1つ抜き出して記録していくことにしました。特に文章表現などは、自分の手で他人の文章を写すことによって、だんだんとうまくなっていくと聞いたものですから、これを続ければもう少しマシな文章を書けるようになるのではないかというところで。

       そうして書き溜まった1ヶ月分の中からいくつかを選んで、毎月最後の更新の日にこの場でご紹介しようというのがこの企画の趣旨です。

       フレーズはとにかく僕の印象に残ったものという観点でピックアップしています。特に感動の名台詞だけを選んでいるわけではありません。紹介の際は出典を明記し、その言葉にまつわる簡単な解説を入れていくことにします。

       それでは2012年4月期の記録をご紹介しましょう。


       私は、帝の親政というもののさきに、いつもなにか清冽なものが見える。清冽な国、清冽な民が見える。それに近づこうとして、私は自らに戦を課しているのだと思っている。帝のために戦っている、と思ったことはない。私が見ている清冽なものは、あるいは夢かもしれぬ。私が若すぎるゆえに、抱いてしまった夢かもしれぬ。しかしそれを失った方がいいとは、一度も思わなかった。 
       (北方謙三 『破軍の星』 北畠顕家台詞)

       いきなりマニアックな歴史小説から。本作の主人公、北畠顕家は、後醍醐天皇による建武の新政(1333)頃に16歳にして陸奥守に任じられるなど、公家出身でありながら武にも通じていた麒麟児。後に後醍醐政権に反旗を翻した足利尊氏軍と熾烈な戦いを繰り広げることとなります。

       この台詞は作品の序盤で彼が何のために戦うのかを表明したもの。「私が若すぎるゆえに......」というところが胸に響きます。

       転じて、この4月に新社会人になった人にも重なる部分があるように思えます。会社は道場のようなもので、苦しくて辛い毎日が続く中で、自分はどうしてそこで働くのかを自問することはよくあるでしょう。その目的意識を失ってはすぐに折れてしまいます。

       若いからこそ夢や想いを持っていていいのだと思います。それを失わなかった人こそが、成功するのだと僕は思います。


       さて、次のフレーズにいきましょう。

       
       金がある人は低金利で資金を借りられ、金がない人は高金利でないと借りられない。これが金利というものの不条理です。 
       (池上彰『池上彰の「ニュース、そこからですか!?」』)

       ニュース解説でおなじみの池上彰氏の解説本。氏の著書は読みやすいので、僕も時事問題の勉強をする時にはいつもお世話になっています。

       これはギリシャの財政危機に端を発した欧州経済危機の章でのフレーズ。何が印象に残ったのかって、うまいこと言ったな、というところだけですけどね。

       言うまでもないことだと思いますが、カードの分割やリボ払いなどでも金利は馬鹿になりませんから、安易な利用は避けるべきですよね。カード支払いは絶対一括で。『20代で知っておきたいお金のこと』(岡村聡)という本にもそうあったので、これは皆さん肝に銘じておきましょう。


       それでは次のフレーズを。これは少々長いです。

       
       だいたいにおいて世間ーーと云うか、ある種のマスコミや識者(どんな?)は、何か衝撃度・話題度の高い犯罪事件が起こると、その原因をなるべく分かりやすい、なおかつ糾弾しやすいところに押しつけてスケープゴートにしてしまおうとする。ホラー映画やいわゆる「有害」図書(最近では某都条例による「不健全」図書ですか)の、青少年の健全教育に対する悪影響ーーといった図式などはその典型だが、何かしら学習能力の低いAIめいて、ことあるごとに同じような行為を繰り返したがる性懲りのなさには溜め息しか出ない。でもって、あれこれと叩きやすいものを叩いたあげくに持ち出される言葉が、往々にして「心の闇」だったりするわけでありますな。
       (綾辻行人 『殺人鬼 ー覚醒編』 あとがき)

       綾辻行人氏については、次回の川島の本棚で詳しく取り上げる予定です。この言葉は、氏の『殺人鬼 ー覚醒編』というスプラッタホラー作品のあとがきにあるものです。

       こちらは、殺人鬼が無抵抗な人間を追いつめ、ひたすら残酷な手段で殺していくという少々過激な作品です(いくら文字媒体とはいえ、朝の通勤通学の電車で読むのはオススメできません。ただ、単なるスプラッタホラーだけに終わらない、最後のどんでん返しが衝撃的な作品でもあります)。こんな内容ですから、上記のような「有害」図書として結びつけられるのは仕方ないかもしれません。

       それに対する綾辻氏の見解ですが、これはまったくその通りですね。マスコミの程度の低さに表現の自由が脅かされている現状は、『図書館戦争』のような世界の具現化に緩やかに向かっている気がします。

       ただ、確かに一部マスコミの誇張表現や、果ては誹謗中傷レベルの報道に対しては規制が必要なんじゃないかと思うときがあるので、そこは何とも複雑ですけどね。表現の自由とは、人を傷つけるために保障されているものなのでしょうか。

       
       それでは、最後に短くシンプルなフレーズで締めましょう。


       自分自身の人生に負けるほど、馬鹿馬鹿しいことはない。
       (道尾秀介 『龍神の雨』)

       前に紹介した『龍神の雨』から。これも作品の序盤の言葉で、特に物語の中で重大な意味を持っていたり、名台詞というわけではありません。

       これは主人公の添木田蓮が妹の楓に「もう生きているのが嫌だとか、そういうことだけは考えないでよね」と言われた後に、彼の心の中に浮かんだ言葉です。

       自分で命を絶つというところまではいかなくても、やっぱり人間生きていく中で理不尽なものを背負いこまなければならず、生きているのが辛くなることはあると思います。拡大解釈するなら、自分自身の人生は自分の選択の1つ1つが積み重なった結果であり、それが今どんな逆境であったとしても、そこから逃げ出すのは"自分に負ける"ということになるのでしょう。

       それを馬鹿馬鹿しいことだと思えば、逆に奮起できる。そういう言葉じゃないかと思いました。

       こんな感じで、毎月やっていきたいと思います。それでは本日はこの辺で。

       
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