奏作空間

Reading & Creation Space "SOH"

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2015.02.13 Friday
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    2014年 お正月

    2014.01.04 Saturday 13:28
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      皆様、あけましておめでとうございます。
      今年もよろしくお願い致します。
      川島奏です。

      ごめんなさい。
      と、早速謝罪を。

      去年の夏頃になんとなく再開した当ブログ。
      たった2回の更新で早くも頓挫しておりました。

      なんでも習慣だと思うんですよね。
      以前毎週更新していた時代は、
      小説も含めて"書く"ことが習慣だったわけで、
      そうじゃない今は、空いた時間ができても、
      なかなか"書く"気力が起きないという有様。

      早起きも最初はツライけど、
      毎日続けていれば、
      自然とその時間に目が覚めるようになるじゃないですか。

      だから、今年はきちんと月1~2回は更新する習慣を、
      身に付けようと思っております。

      皆様も、今年の目標を書き出し、
      年の暮れにどのくらい達成できたか振り返ってみてください。

      大きな目標から小さな目標まで、
      いろいろ書き出してみると良いみたいですよ。
      大きな目標ばかり立てて、
      年末に振り返った時に出来なかったことばかりが残ると、
      この1年なにも出来なかったなあ、って寂しくなりますから。

      僕はこのブログに関しては、
      前傾の目標で運営していきます。

      有言実行あるのみですね。

      さて、習慣の話に戻すと、
      去年は"読む"習慣も身についてなかったなと、
      反省をしているところです。

      小説版の『電脳コイル』を読み返し、
      その感想でも載せようかとブログを再開したはいいものの、
      今となってはまた細かい部分を忘れている始末。

      ほんとにやることなすことが中途半端で、
      個人的には実りの少ない1年を過ごしてしまったと、
      悔いているところです。

      だから自分に言い聞かせるために、
      目標の話などをするわけです。

      今年は"読む"方にも力を入れて、
      感性を磨き、様々な人の考えに触れていきたいですね。

      いずれは蓄えたそれらの財産を活かして、
      小説という形で自分を発信できればと思います。
      まだ先のことになるでしょうけど。

      しばらくは当ブログで、
      僕の触れたものの中から気に入ったものをご紹介する形になるかと。

      そんな僕が今愛読しているのは、
      北方謙三『三国志』です。

      学生時代に一通り読んだんですけどね。
      今は当時とはまた違った部分が琴線に触れます。

      『三国志』の魅力は様々あるでしょうけど、
      北方『三国志』の魅力は、生き様の描き方にある気がします。

      魏の曹操であったり、蜀の劉備であったり(呉の場合は孫策かな)、
      彼らのもとに多くの名将、豪傑が集ったのはなぜか。
      彼らの何が人を惹きつけ、どうしてこれだけの人を動かせたのか。

      その根本にあるのが、強烈すぎるほどの志でしょう。

      命を賭けても成し遂げたいことが自分にあるのか、
      ということを問いかけられている気がします。
      大げさじゃなく。

      『三国志』はストーリーも面白いですし、
      武将同士の交わり方も見ていて楽しいです。

      僕は漫画の横山『三国志』から入ったクチなので、
      まだ触れたことのない方は手軽なこちらから入ってみると良いかも。
      心理描写や武将の個性で云えば、圧倒的に北方『三国志』の方が面白いですが。

      それでは、今年はこんな感じでやっていきたいと思いますので、
      今後ともよろしくお願い致します。












       
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      2012年 新年挨拶

      2012.01.08 Sunday 22:11
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          だいぶ遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。川島奏です。

         お正月はいかがお過ごしでしたか。僕は創作のことを忘れて飲んだ暮れたり、読書などして過ごしていました。

         今年は元日から初詣に行きましたが、やはりすごい人手でしたね。日本最古の神社と呼ばれる奈良県の大神神社(おおみわじんじゃ)というところまで足を伸ばしましたが、人が多過ぎて観光気分は萎えて、お賽銭を投げておみくじを引いて帰りました。そのおみくじは「中吉」でしたが、それよりもおみくじを担当していた巫女さんがものすごくかわいい人だったので、今年はなんか良い1年になる予感がしています。

         とまあ、2012年も始まっちまったわけですが、個人的な話をすると、今年は僕は年男で、そして本厄にあたることになります。厄払いとか行った方がいいのでしょうか。これも初詣と同じで、ほとんど自分の気持ちの問題だと思うんですけどね。

         創作の話をしますと、現在執筆中の新作をもって、この2012年にはさすがに僕の『電脳コイル』への取り組みも終わるかなと考えています。『3.00』もそうですが、これも去年の年末に書きましたので繰り返さなくてもいいですね。

         当ブログでも最近は新作の話ばかりしていますが、こちらは組み上げたり解体したりしながらスッキリとした形にまとめようと考えているので、具体的な予告もまだ出せないんですよね。本当に自分の中で完成形が見えるまで、しばらくは執筆状況の報告も控えようかなとも考えています。

         するとここで書くことがないので、しばらくは「川島の本棚」のような自分の読んだ本の紹介ばかりになりそうです。最近、手に取ってみた本が個人的に「当たり」だったことが多くて、今後はそれらを取り上げていきたいと思います。

         今日はせっかくなので、2011年に僕が読んだ本の中でも衝撃的だった1冊を紹介して締めることにします。


         
         高野和明『ジェノサイド』 角川書店













         











         ハードカバーになりますが、文庫化を待たずして今読んでも決して損はしない一品。評判が非常に高く、ハリウッドを凌ぐ超弩級エンタメ小説と称されるほど壮大な物語は、人類絶滅の要因を列挙した「ハイズマンレポート」という論文を巡って展開する。宇宙規模の災害、地球規模の環境の変化(磁場の変化)、核戦争、疫病などの様々な人類絶滅の要因の中にあった、人類の進化という項目。ホワイトハウスは、この地球上で新人類が誕生したという情報を掴んで、密かに策動を始める。ミッションの真相を知らされずに、ホワイトハウスの密命を帯びる民間軍事会社の傭兵。そして、日本で創薬化学を学ぶごく普通の大学院生。交わるはずのないこの3者が交錯する時、新人類と現生人類の戦いが幕を開ける。

         物語の根底にあるテーマは、人類の業の深さだと思います。『ジェノサイド』というタイトル通り、この作品の中ではおびただしいほどの血が流れますが、それは決してフィクションではなく、現実としても起こっていることなのだという意味では単なる娯楽作品ではありません。

         物語としては大ボリュームで非常に読み応えがあり、それでいて終盤にはどんでん返しが仕込まれていて、とても巧緻な構成になっています。純粋に物語を楽しみながら、そして1度立ち止まって、自分が今立っている世界の現実に思いを馳せてみるのも良いと思います。

         
         それでは、今年もこんな感じでお付き合いいただければと思います。











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        2011年 総括スペシャル

        2011.12.11 Sunday 23:34
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            当ブログも隔週更新にしたおかげで、年内の残りの更新が今回も含めてあと2回となってしまいました。月日の流れるのは早いもので、とは毎年つぶやいていますので割愛。

           このブログを開設してから3度目の年末を迎えるわけでございますが、例年は年末最終更新に1年の総括と反省をしていました。しかし今年はそれを前倒しにして、今回終わらせてしまいます。そして年内最終更新日は12月25日ということもあって、クリスマスを題材にした電脳コイルのショートストーリーをお送りしたいと思っています。後ほど、その詳しい予告をします。

           さて、まずは恒例『電脳コイル』のオフィシャルの2011年の動きですが、やはりBlu-ray化が一番大きなニュースでしょう。去年はここで小説版の完結という話をしていて、さすがに来年に動きはないかなあと思っていましたが、まさかでした。では来年の2012年は何がありましょうか。ソーシャルゲーム化という話もありますが、此花さんも先日おっしゃっていた実写映画化されたらいいな、なんて。

           そして僕の創作活動の上での今年一番のニュースはやはり、『春』を完結できたことでしょうね。その心境などは「あとがき」などで書き綴りましたので、繰り返すことはやめておきます。

           しかし、今年は東日本大震災が起こったこともあって、創作している身としても決して気分が乗り続けた1年ではありませんでしたね。

           僕は関西に住んでいるので、その混乱を肌で感じることがなかったわけですが、なんでしょうね。本当に包み隠さず打ち明けると、あの時僕の日常は些細な変化もなく続いて、あの惨状はテレビでしか感じ取れなくて、それはあまりに非現実的で、ともすれば遠い外国で起こったことのような感覚で、これが国内で起こったことを相応の重みで受け取れなかったことに罪悪を感じて、一体自分がどこまで同情して、一体どこまで同情しているフリをしているのかがわからなくなっていました。

           ただ、誤解を恐れずに言いますと、同情し続けることや現実を見続けることは、やはり疲れます。僕はあの出来事に対して変わらぬ僕の日常を過ごす以外のことができなかったため、どこかで割り切る必要がありました。割り切って、執筆を続けました。自らの逃避という目的もありましたが、こんな時こそフィクションが必要じゃないかと思ったからです。

           僕は、フィクションは現実からひととき目をそらすためにあるものだと信じています。現実とずっと向き合い続けていると、多分人は希望よりも不安の方が積み重なってしまうのでしょう。フィクションは人が心を休める場所であり、刺激や活力を得る場所であり、夢を見られる場所であり、そして僕はたった1人に対してでもいいからそんな場所を提供できればと思い、また自分にはそれが出来ると信じることにより己の無力感をごまかしていました。

           この姿勢が正しいとは言えないかもしれませんが、この出来事を通して僕は、自分が物語を書いている意味を再認識しました。

           さて、話を再び今年の創作活動の方に戻しましょう。山あり谷ありの連載を乗り越えて、『春』は目標通り今年で終わらせることができました。そして完結後すぐに、次なる物語を書き始めることとなりました。その次なる物語も、『電脳コイル』を題材にした二次創作になることはこれまでお知らせしている通りです。

           前にもこの話はしましたが、去年の年末の総括で、僕は今年限りで『電脳コイル』を扱った物語を書くことをやめると宣言していました。『春』が終われば、なんの未練もなくこの物語から離れることができるだろうと思ったからです。

           それは『春』が完結してからも同じでした。僕はあの物語を完成させた時点で、『電脳コイル』から離れることもできました。『春』でやり残したこともありません。多少強引な締めになりましたが、あのラストこそが僕の願う彼らの未来でした。

           それでも次回作を『電脳コイル』として書かずにはいられなかったのは、今度は「人生」を書きたかったからです。僕はアニメや自ら手がけた二次創作で、彼らの人生における土台となる部分をずっと追ってきました。そして、当然のことながら彼らがこれからどんな風な人生を歩むのかも気になりました。その途中経過を、子どもと大人のはざまに位置する成人したての時期にスポットを当てて垣間見てみようというのが、次回作の一番大きなテーマです。

           そしてその彼らの「人生」は、僕達の周りにもごく日常的に転がっていそうな出来事や事件を通して、ごくありふれた物語として描いていきたいと考えています。次回作における僕の挑戦は、どれだけ読者の方の共感を得られるかです。共感を得られる物語を書くには、いかにキャラに物語を任せられるかがポイントになってくると思います。

           書き手側のスタンスとしては、最初にキャラの設定と配置をするだけで、後はもう勝手に動くキャラを追いかけることに集中するというのが理想の形です。あまり自分の都合でキャラを動かしているとキャラが死んでしまうことになる、というのはプロの作家さん達もよくインタビューなどでおっしゃっています。

           ところが、それをやってみようとしたらどんどん思っていなかった展開に流れて、いっこうに話が前に進んでくれないんですね。すでに次回作における彼らの青春はあらぬ方向に転がりだしています。プロの作家さんがそこでどう折り合いをつけているのかわかりませんが、ただただ僕の場合は分量の増加という形で妥協しています。

           次回作の見所はその辺のハチャメチャ具合かもしれません。キャラが活きている以上は物語として冗長になっても退屈にはならないと思いますので、彼らの掛け合いなどは注目してみてください。

           と言いながらも、次回作が来年のいつ頃出せるかどうかはまったく見通しが立っていません。あまりにお待たせしていると忘れられてしまいますので、今回策を講じました。

           それがこのブログにて次回投稿するショートストーリーです。こちらは次回作へとつながる、いわば「episode 0」とも言うべきお話になります。それでは、その予告をしたいと思います。


           『電脳コイル』二次創作短編  ー最後のクリスマスー

           2028年12月24日。橋本文恵と沢口大地が恋人となって迎える最初のクリスマスは、翌年に新型ウェアラブルコンピューターの発売が控えていることから、"電脳メガネ"最後のクリスマスと言われていた。文恵と大地は、その終幕を飾る電脳クリスマスイルミネーションに繰り出す。そこで2人が見た、"メガネ"最後の幻とは。

           
           というわけで、次回作で主役を張る2人の物語を、特に文恵の視点から描いていきます。

           今回、文章の体裁など次回作仕様になっていますので、『春』の時とは書き方が大きく変わっています。登場人物の漢字表記に関してもそうです。まずはこれらの仕様変更に慣れていただければと思います。

           それでですね、注意点は、題材がクリスマスなので雰囲気が非常に甘くなっているということでしょうか。序盤にして無理だわ、と思われた方は後半にいくほど甘くなりますのでそこで止めた方が良いかもしれません。一応、文恵と大地だけでなく、みんな出て来る展開にはなりますけど。

           また、確認していただきたいのは時間設定です。次回作の本編は2035年が舞台で、その時の彼らは大学3回生。このショートストーリーは2028年で中学2年生です(ちなみに『春』が2027年)。間に7年の開きがありますが、伏線もちらほら出てきます。注意深く読んでいただければ、次回作もより楽しめるかと思います。

           年内最終クリスマス更新はこんな感じになるので、どうぞよろしくお願いします。

           最後にここで来年の抱負ですが、この次回作を早く出すことに尽きます。そして現在連載中の『3.00』も来年には完結するでしょうから、こちらも最後まで手を抜かず此花さんと作り上げていきたいと思います。そして来年こそはオリジナル小説を、といきたいですが、これは次回作がいつ出せるかによりますね。頑張ります。

           それでは2011年も応援ありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。再来週はー最後のクリスマスーをお楽しみください。

           

           








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          『電脳コイル』二次創作小説(川島奏・此花耀文作品)

          2011.09.25 Sunday 21:41
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             どうも、川島奏です。ブログをリニューアルしてサブタイトルをー『電脳コイル』二次創作小説への通路ーと改めたのを機に、僕と此花さんがこれまでに執筆した『電脳コイル』二次創作の作品群を、すべてリンクに張ることにしました。今回はそれらの作品を時系列順に一覧にまとめ(わかりやすくするために、アニメ本編がどこに位置するかも示しました)、今後検索エンジンに引っかかりやすくなるようにしたいと思います。


            『電脳コイル プロローグ』 原案:川島奏 作:此花耀文
             
             アニメ『電脳コイル』の1年前の出来事を描いた作品。葦原カンナが事故に遭う直前、彼女と原川研一の間で何が起こったのか。そして、事故の原因を作ってしまった天沢勇子と猫目宗助はその時何を思ったのか。それぞれの心情を追う。


            『大黒市黒客クラブ戦記』 作:川島奏
             
             『電脳コイル プロローグ』にて発足のきっかけが描かれた”大黒市黒客クラブ”。わずか1年足らずで大黒市の頂点へとのぼりつめた"伝説"のクラブの結成から、最強の敵である天沢勇子との出会いまでの戦いの記録。


            『電脳コイル -COIL A CIRCLE OF CHILDREN-』

             アニメ本編。Blu-ray版、11月25日発売。


            『電脳コイル いつか花のように』 作:此花耀文

             アニメ最終回直後、”あっち”から戻って来た天沢勇子が金沢に帰るまでの出来事を描いた作品。イサコにとって小此木優子とはどういう存在となったのか。病室での2人のやり取りを中心に、彼女の内面に迫る。


            『電脳コイル 冬を抱いてほころぶ花』 作:此花耀文

             金沢に戻るイサコ。新しい生活、新しい友、新しい事件が彼女を待つ。アニメで多くは語られなかったイサコと母の関係を軸に展開する物語。互いに危うい繊細さを持った母娘は、事件の果てに何を見るのか。


            『電脳コイル 春』 作:川島奏

             アニメの最終回から半年後の大黒市と金沢市を舞台に、連続して発生する奇怪な事件の数々。時に衝突し、時に結託する仲間。大人と子ども。無垢な信念。複雑に張り巡らされた陰謀。真実と虚構のはざまで、彼らはそれぞれの使命を探す。『電脳コイル』本編の設定をさらに掘り下げた大長編。



            (次回作) 作:川島奏 現在執筆中
             
             ”電脳メガネ”時代の終焉の後に訪れたのは、脳内に電脳情報を直接書き出す"ナノマシン”の時代。その普及の過程で構築された完全無欠・絶対安全の巨大ネットワークシステム。そこに風穴を開けようと巧妙化を続ける電脳犯罪。それに立ち向かうは、大黒市警電脳犯罪対策課の新米捜査官、沢口大地。そして、空間管理室非常勤職員、橋本文恵。



            ー別時間軸ー

            『電脳コイル private edition <version 3.00>』 作:此花耀文 川島奏 連載中
             
             アニメ、オフィシャル小説とも独立した3つ目の時間軸に存在する『電脳コイル』。ヤサコとイサコの出会いという同じスタートラインから綴られてゆく、まったく別の物語。原作とは異なる人間関係や新鮮なメインキャラ達が、新しい風を巻き起こす。彼らの信念がぶつかり合う先にあるものとは。


             
             以上の作品です。僕と此花さんの間では、お互いの作中の設定で齟齬が起きないようにと配慮をしておりますので、一応時系列的に読んでみても筋が通るようになっているはずです。初めての方なら、どの作品から読めばいいか迷った時はこの順番に読んでもらえれば良いと思います。もちろん、アニメ本編を先に見て世界観を理解するということが前提になるのですが。

             その中で、しれっと僕の次回作の情報を挟んでおきました。改めて告知しておきますと、次回作も『電脳コイル』の二次創作小説になる予定です。この新作の情報は、これから当ブログにちょくちょく小出しにしていきたいと思いますので、興味のある方、お見逃しなく。

             それでは、本日はこれにて。

             

             

             



             




             
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            ブログリニューアル

            2011.09.18 Sunday 22:48
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               こんにちは。川島奏です。2年半にも渡る『電脳コイル 春』の連載もついに終わり、こちらのブログの方もタイトルやデザインを一新して、心機一転やっていこうかなと思います。

               ブログ名の方は熟考した結果、「奏作空間」ということで決めました。「創作空間」だと、検索をかけた時にいくつか同名のブログがあったんですよね。ですのでこの字で行きたいと思います。サブタイトルをー『電脳コイル』二次創作小説への通路ーとしたのは、『電脳コイル 』二次創作小説の宣伝用に立ち上げたこのブログの当初の趣旨は変えていないからです。雰囲気も残したかったですしね。現在も『電脳コイル 3.00』を連載していますし、今後も"通路"として機能してくれればいいかなと思います(リンク元URLを見ていますと、ほとんどの方が「小説家になろう」から来られているようですけどね)。

               デザインはものすごく迷った末にこのテンプレートに決めました。前までが地味だったので、インパクトがあるものを選んだつもりです。世界観などは自分らしくはないですが、これでいいですよね。画像が入ると少し本文が読みにくくなるようですが、これからのエントリーではできるだけ読みやすい記事にしていくつもりです。

               気分を一新したとはいえ、書いていくことは何も変わりません。あんまりネタもありません。ですのでこれからは、取り上げるネタに制限は設けず、自分が日々感じるよしなしごとを書き綴るような形が多くなると思います。その合間に次回作の執筆状況や、『電脳コイル』の方で何かネタがありましたらそれを積極的に取り上げることになるでしょう。

               しかし最近気が付きましたが、『電脳コイル』の小説版が完結してからちゃんと取り上げたことがなかったですね。自分の感想を書いたり皆さんの感想をお聞きしたいなとも思うのですが、いかんせん自分は読了してからだいぶ時間が経っていますので、復習の時間が必要です。それはまたおいおい考えていきたいと思います。

               では今回は何を書くかというと、せっかくのリニューアルですので初心に帰って自分のことを書いていこうかなと思います。ペンネームの由来など、これまで触れたことがなかったかと思いますので。

               さて、このたびプロフィールも書き直させていただきましたが、僕の趣味は小説執筆を入れないならスポーツ観戦になると思います。最近はこのブログでも野球好きな一端は小出しにしていますが、サッカーを見るのも好きですし、放送があればアメフトなんかも見ます。それもほとんど海外の試合ばかりです。どのスポーツにおいても、世界のトッププレイヤーが集う本場で行われる試合の迫力は違いますからね。

               小説を書いている身でこんなことを言うのも変ですが、自分は筋書きのないドラマが好きです。未来永劫語り継がれるような奇跡的な試合を目の当たりにした時、歴史の目撃者となったような気分になって、それが一番興奮しますね。

               その中で最も自分がのめり込んでいるのが、アメリカメジャーリーグです。いつかMLB分析のブログを書いていきたいなとも思っているぐらいで、将来メジャーリーグ30チームの全球場に足を運ぶというのが夢です。

               その辺りのことは今後このブログに書くつもりはありませんが、自分の創作の原点はこの野球だったりします。

               自分が小中学生ぐらいの時は、野球漫画を書きたいなと思っていました。ところが、自分には壊滅的に絵心がなく、"描く"というのは早々に挫折しました。漫画だと一試合書くのにも膨大な時間がかかりますしね。

               しかし野球で小説を書くなどという発想はなく、じゃあどうするかっていうと頭の中で物語を展開させていくしかないわけです。高校野球を題材にするにしても、主人公の3年間の成長過程を頭の中で完結させるのは無理な話で、結局最後の大会の勝ち上がり方ばかりをずっと考えていましたね。もちろん最後は甲子園で優勝します。中学生ぐらいまでは、つまらん授業の時はそんなことばかり考えてましたね。

               実は、「川島奏」というペンネームは、僕が描いていた野球物語の主人公の名前をそのまま使いました。『春』を最初に投稿する時にペンネームを考えなければならず、どうしようかと悩むうちにこの名前を思い出したんですよね。「じゃあこれでいいや」と思って、深くは考えずに決めました。その時は「川」の字が違っていましたが。

              「川島奏」という主人公の名前にも由来はあります。当時(中学生の時でした)僕がハマっていた漫画に『巨人の星』という作品がありました。古っ!と思われる方もいるかもしれませんが、当時自分は巨人ファンで(今は日本のチームで応援している球団は特にありません)、僕の父が保存していたのを手に取ったのが読むようになったきっかけです。

              『巨人の星』は同年代で読んでいる人はあまりいないのですが、とにかく今の野球漫画に見られる「成せばなる」「限界など存在しない」というような甘さがありません。主人公の星飛雄馬には、自分はプロでは到底通用しないという肉体的限界が見えていて、結局彼はその限界を打ち破ることができないで終わります。彼がプロの世界で生き残る道を模索していく過程でいくつかの魔球が生まれますが、それは所詮その場しのぎにしかならず、大リーグボールというのもイメージよりロマンチックなものではありません。

               内容は鬱展開が多いですが、今でも十分通用する価値観において描かれた"本当の勝負"には読み応えがあり、さすが古典野球漫画の傑作だなあと思います。魔球が現実離れしているだけに評価は賛否分かれると思いますが、プロ野球という世界の厳しさをこれほど如実に伝えてくれる作品はないと僕は思っています。

               それはさておき、「川島奏」という名前は作中に登場する、まさに実在した"巨人の星達"からきています。打撃の神様、川上哲治。ミスタープロ野球、長嶋茂雄。世界の本塁打王、王貞治(イニシャルに直せばS.OH)。いずれも巨人軍の永久欠番として名前を残している方々です。今にして思えば恐れ多い名前ですが、誰もこの方達からとったとは気付かないでしょう。ちなみに「奏」の字は後で考えました。

               そんな少年時代を過ごした自分は、今でも野球で小説が書けないかなと考える時があります。従来なかったような切り口のネタもあるのですが、実現は難しいでしょう。個人的には、戦術的な野球小説の可能性を模索したいなとも思っているのですが、それを書くためには野球に対する知識も、文章の書き方もまだまだ磨く必要があると思います。書くにしても、ずっと先の未来の話です。

               今回は自分の野球への深い愛情を書き連ねましたが、あまり興味のない方にはつまらない話題だと思いますので、次回以降はもう少し中立的な内容でいきたいと思います。

               それでは「奏作空間」を今後ともよろしくお願いします。
               

               
               
               

                





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              2010年 総決算スペシャル

              2010.12.26 Sunday 17:13
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                 メリークリスマス!!は昨日で終わりましたね。皆様はどう過ごされましたか?僕は昨日忘年会がありまして、飲んで食って騒いでおりました。いやしかし、さむい!!

                 では年内最終更新ということで、今年もやります、大反省会。

                 とりあえずオフィシャルの『電脳コイル』の2010年を振り返ってみますと、やはり最大のニュースは小説版の完結ということになるんでしょうね。しかしながら、未だに僕は最終巻に手がついていないという......忙しかったんです、最近。このブログも中身が薄くなっておりますが、『春』の方もいよいよストックがなくなって切羽詰まってきています。年末年始にその遅れを取り戻すつもりですが、とりあえず最終巻を取り上げるのはまだ先の話になりそうです。

                 他に何か動きがあったかなと公式サイトを見てみましたが、あまり目を引くニュースはないですね。さすがにアニメの初回放送が終わって3年経って、小説版も完結して、オフィシャルではもう出尽くした感があります。うぬぼれですが、いよいよ僕達が頑張らないとなあという思いを強くしますね。僕達の小説を読んでくださる『電脳コイル』ファンの方々に、まだまだ新しい驚きを提供できることは幸せなことだと思います。

                 完結というキーワードが出ましたが、果てしない物語となった『春』はいつ完結できるのか、ちょっとリアルなお話をします。現在は第22話に入ったところです。ここまでくると皆さんも想像することができると思うのですが、一応、僕の中ではアニメと合わせて全26話構成にできればと思っています。おそらく26話目はエピローグ的なお話になる予定なので比較的短く収まると思いますが、現在のペースでいくと完結は2011年の5月頃になりそうな気がしています。

                 しかし困った事に、第3部に入ってから話の展開が遅くなっています。その自覚もあります。それに僕の感覚ではちょっとシリアスになりつつあるかなと。アニメでも終盤は重いお話が続きましたので、それも別に悪くはないかなと思いますけどね。でも若干後悔しているのは、イサコと大黒メンバーとの再会を、中途半端なテンションでしか書けなかったことです。状況が状況だけに、ヤサコやフミエ、ダイチ達がイサコとの再会を手放しで喜べる状態ではなかったとせざるを得ませんでした。この辺は執筆開始当初の目論見から完全に脱線しましたね。それでも一言だけ。第3部は年明け辺りの更新からまた急展開となりますので、どうぞお楽しみにしていてください。

                 さてさて、僕の中でこの2010年が去年と決定的に違ったのは、共同作品に取り組んだということです。それは言わずもがなですが、現在連載中の『電脳コイル private edition <version 3.00>』と、もう随分昔のような気がしますが今年の年明け頃から連載した『電脳コイル プロローグ』の2作品です。いずれにおいても執筆を担当される此花さんとこのブログで知り合ってから、ちょうど1周年となるわけですね。そう考えると、とても素敵で濃密な1年を過ごさせてもらったと感謝しています。それはもちろん此花さんだけでなく、いつもこのブログにコメントを寄せていただいている方々のおかげでもあります。今年1年ありがとうございました、来年もまたよろしくお願いします、とこの場を借りて挨拶させていただきます。

                 『プロローグ』の方はほとんどストーリーを此花さんが組み立てられたので、僕はさしたる苦労はしてないのですが、『3.00』の方はそれはそれは大変でした。いや、過去形ではないですね。現在進行形で毎週、次回更新分の原稿を読ませていただき、それに対して僕が修正ポイントを指摘させていただいたり、伏線の確認をさせていただいたり、連載開始からそういう作業を繰り返しています。もちろん、執筆者の此花さんの方が何倍も大変な思いをされているわけですから、僕がここで苦労話のように語るのもおかしいですが、『3.00』の舞台裏の紹介ということで、このようにこの物語が紡がれていることをお伝えしたかった次第です。

                 ついでに『3.00』の企画が立ち上がるまでの経緯について、ちょっとぶっちゃけトークで説明しましょう。すみません此花さん。勝手ながらその時のお話をネタとして使わせていただきます。もちろん誇張はなく、ありのままをお伝えします。

                 最初にこの話を此花さんからいただいたのは、『プロローグ』が完結して一息ついていたところでした。メールの日付を確認しましたが、2月の末のことです。そこに非常に短い文章で、「(『冬を〜』)の連載に余裕ができましたら、またいつか川島さんと共同の作品に取り組みたいと勝手に思っています」とあったのです。正直言うと、最初僕はこれを社交辞令かなと思っておりました。

                 僕も経験があるのですが、例えば、とあるバンドマンが以前組んでいたバンドのメンバーと偶然スタジオで会ったりすると、昔話に花を咲かせた後「またなんか一緒にやろうや!」と声をかけられるのが相場です。でもこれは基本的に社交辞令で、こっちも「おおええで!それやったらまたメールしてや」と返すのが礼儀というものですよね。この会話はその場だけのものだったと安心していると、後日、相手からマジでメールが来て、状況に流されるままにバンド結成というのは、非常にありがちなパターンです。

                 話が脱線しましたが、僕もそのお話をいただいた時に、本当にやるのかどうか半信半疑だったんですけど、快諾した覚えがあります。もちろん僕も、面白そうな話だけど、大変そうだなという覚悟をして返事をしました。そこからは「やる」ということで話はトントンと進んでいくことになります。『春』の第1部完結の頃、『電脳コイル』という作品をまた一から組み立てるという途方もない方針に決まったわけです。

                 当初はメール交換だけでそこまで組み立てられるのか不安だったんですけど、人間やろうと思えばできるものなんですね。3ヶ月ほどの打ち合わせでようやく目処が立ったというところまでこぎつけました。僕も微力を尽くしましたが、とにかく膨大な量のアイデアや設定の整理などは此花さんに任せっきりでしたので、ほんとにもう此花さんには感謝しています。あの時の作品に対する熱意のこもった此花さんのメールの数々、皆さんにもお見せしたいですよ。

                 それでは、『3.00』の方もこれからまた物語が動き出すというところなので楽しみにしていてください。と言いつつ僕が一番楽しみにしていたり。

                 はい。では締めに来年2011年卯年に向けての抱負を述べたいと思います。個人的には、来年を『電脳コイル』ラストイヤーに位置づけ、この作品に対する一連の取り組みに区切りをつけるつもりです。とにかく『春』を完結させるというのが、最大の課題ですね。この物語を書き始めた最大の理由は、『電脳コイル』という作品を自分の中で終わらせたくないという思いがあったからですが、ここまでくればもうあれです。さっさと終わらせたい!!もちろんイヤになったからではありませんが、引っ張り過ぎました。ホントに。『春』さえ終わらせれば、なんの後腐れも後悔もなく、『電脳コイル』という作品から卒業できる気がします。もちろんですね、『3.00』が終わるまではしばらくは僕の取り組みも続きます。詳しくは言えないですが、『春』の完結の後、作中で非難囂々だったあの問題に決着をつけるべくスペシャル小説を書こうかなと思っていたりします。それでも来年中にはすべて終わるでしょう。目標の一つとしては、来年中に完全オリジナル小説の連載を開始するということですね。その辺も以前から色々と構想しています。

                 そして新年1発目は、今年のお正月にアップして中途終了していた『電脳コイル お正月』の続きを書き上げたいと思います。年末年始に書いている時間があるのか若干の不安もありますが、とりあえず三が日のうちに更新できたらなと思います。

                 それでは改めまして、今年も一年応援ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

                 それでは僕はこれから最後のM-1を見ることにします。

                 よいお年を!!
                 



                 

                 
                 







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                第2部完結・第3部突入記念特集

                2010.10.08 Friday 23:10
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                   ついにここまで来たかという感じですね。半年間続いた第2部が先週完結し、昨日の更新より『電脳コイル 春』は最終章である第3部に突入しました。金沢市編、楽しめていただけましたでしょうか。ストーリー的には多少強引な部分もあったかなあと自分では反省しているんですけど、とりあえずやれるだけのことはやったと思っております。

                   しかし段々とストーリーがややこしくなってきていますよね。特に終盤は物語の核心に迫る描写がありながら、急展開の中で慌てて回収した伏線もいくつかありました。その点はわかりづらい部分もあったかと思います。というところで今回は第2部の復習として、金沢で起こった事件を時系列順に並べ、立て続けに起こった事故の真相をそれぞれ整理していきたいなと思っています。もちろんこれはネタバレそのものですので、『春』の第2部を読了していない方で今後読まれる可能性があるという方、これより先の記述には絶対に目を通さないことをオススメします。

                   ところで前回、第1部が完結した時にも同様のまとめを行ったのですが、その時は大人達の戦いの側面から物語を辿っていきました。今回もその様相がわかるようにまとめていきたいと思います。

                   あと、先週の記事の最後に詳細な時間設定について説明させていただきましたが、今回も事故が起こった日付や曜日を念のために付していくことにします。本編ではそこは省略しているので日付そのものに大きな意味はないのですが、参考にということで。先週より引き続き2027年のカレンダーの代用として、2010年度版のカレンダーの4月を手元に用意してご覧下さい。




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                   2027年 4月 金沢市連続空間事故の真相

                  発端 金沢市黒井交差点交通事故 2026年 7月31日 (金)
                   さかのぼること8ヶ月ほど前。全国で電脳ナビ搭載車の奇妙な交通事故が相次いで確認されていた時にその事故は起こった。被害に遭ったのは金沢市在住の母子、桐野恵と桐野詩織。幸い2人は命だけは取り留めたものの、意識不明の昏睡状態に陥った。当初はご多分に漏れず電脳ナビ搭載車が起こしたその事故の原因は不明とされるはずだったが、警察はこれを運転手の過失と判断し彼を逮捕する。(時系列的にはアニメの「カンナの日記」の辺りを想定)

                  ・メガマス金沢支社の「新空間計画」 2026年 9月〜
                   金沢支社長と当時まだ幹部の列席にいた神崎信明は、この月にあるプロジェクトを立ち上げた。彼らはこの年の夏に起こった一連の事件の概要を掴み、金沢に残されていたコイルス社の実験空間から小此木宏文と猫目技師の研究を、本社を出し抜いて引き揚げることに成功していた。その研究を元にして始められたのが「新空間計画」。2人の研究者の資料には誰でもイマーゴ能力が使えるようにするための手段が書かれていた。それには空間自体を改良することが必要だった。プロジェクトチームはその資料に従い、”あっち”を改良した空間を完成させる。
                   そしてもう1つ神崎の指示によってプロジェクトチームは手を加える。それはその空間を現実世界のパラレルワールドに仕立てることだった。これにより金沢市の街並はもちろん、金沢市民約45万人の容姿、仕草、思考さえも再現した空間が出来上がる。その完成は、金沢支社が発掘したある天才技師の力に依るところが大きかった。
                   しかしそこで問題が浮上した。元々極秘裏に開発されていたこの空間を、実用化に向けての実験も兼ねて、どこかに隠すことが必要になったのだ。プロジェクトチームはかつてサーバーを違法に占有していた”あっち”に倣い、その「新空間」を同じようにサーバーのはざまに落とし込んでいった。これで偽装は成ったかと思えば、今度は空間の安定性が損なわれた。
                   そこで神崎はあることを思いつく。かつて吹けば飛ぶような”あっち”という違法空間が長く存在し得た理由、それはその空間を維持しようという力が働いていたからに他ならない。その力の源はミチコだった。彼女には空間の安定をもたらす力があった。それに目をつけた神崎の指示でかつての彼女の記憶も拾い集められ、彼女は復活する。それを行ったのも、プロジェクトの中心にいる例の技師だった。
                   そうして再び命を与えられたミチコは「新空間」の神として、その世界を安定させることだけを命じられた。ただのプログラムである彼女は、その命令を忠実にこなすことしかできないはずだった。

                  ・ミチコの覚醒 旧大黒ビジネスホテル空間事故 2027年 4月1日(木)(本編第12話)
                   「新空間計画」は金沢と大黒の両都市で進められていた。そしてミチコはこの時、大黒の方の空間にいた。ところが、その大黒の「新空間」が眠る、今は廃ビルとなった旧大黒ビジネスホテルで別の事故が起こった。その首謀者はかつてミチコと取引をしようとした猫目宗助。巻き込まれた大勢の子ども達の中にはミチコの生みの親の1人、ヤサコの姿が。ミチコはそこで宗助の操作していたかつての”あっち”に入りこみ、そしてヤサコもヌルに襲われてその中へ。深い因縁に引き寄せられた2人は再会を果した。ミチコはそこで来る未来の姿をヤサコに予言する。しかし一方で、ミチコの中にはヤサコに対する複雑な感情が芽生えていた。その時点でミチコはただ命令を忠実に実行するプログラムではなくなった。彼女は自我を獲得したのだ(これに関しては詳しく後述)。この出来事こそが、金沢市で後に起こる連続空間事故の引き金となる。

                  ・第1の事件 金沢市黒井地区空間事故及び死亡電脳ペットに関する怪現象 4月8日(木
                   それから1週間後。昨年の夏に痛ましい事故が起こってしまった金沢市黒井交差点近くで、今度は空間事故が発生する。事故の目撃者は、何の変哲もない空間に突然ブラックホールのような穴が開き、気がつくとメガネが破壊されていたと話す。そしてその直後から金沢市のあちこちで、既に死亡してメモリアルも届いたはずの電脳ペットが蘇生したかのように帰ってきたという話が聞かれ始めた。
                   
                  ・天沢勇子、中学校入学 4月10日(土)(本編第14話)
                   昨年の夏の事件を乗り越えてたくましく成長したイサコはこの日、金沢市立夕日寺中学校に入学した。その日の朝ヤサコとの電話でお別れの言葉を告げたイサコは、今度は自分がヤサコのような存在になろうと胸に誓う。
                   その次の日、金沢市を訪れた大黒第三小学校時代の担任であるマイコから、イサコは先月末から廃ビル事件に至までの大黒での異変について説明を受けた。

                  ・第1の事件の調査開始 桐野沙織・金沢黒客との接触 4月12日(月)
                   しばらくメガネのある生活から離れていたイサコだったが、ひょんなことから第1の事件の調査を始めることとなった。イサコは事件の噂を整理し、蘇生して帰ってきたという電脳ペットも見せてもらう。そこから事故現場である黒井地区に移動すると、そこで見た事も無い暗号を発見する。それを辿ってゆき、その暗号の使い手らしき少女を見つけた。イサコは少女との接触を試みるも失敗。すると今度はその一部始終を見ていたという男子3人組に絡まれる。その翌日からのやり取りでイサコは、金沢黒客と名乗るその電脳クラブとの協力関係を結ぶことに決める。

                  ・第2の事件 金沢市立夕日寺中学校空間事故 4月14日(水)(本編第15話)
                   例の暗号の使い手の少女は桐野沙織といい、同じ夕日寺中学校の生徒であることが判明する。イサコはもう1度接触を試みるがめぼしい情報は得られず。そんな折、そのサオリが学校で何やら怪しい動きをしているのを発見。金沢黒客と手分けしてそれを監視することに。サオリはやはり見たこともない暗号を駆使していた。そこから何を始めるのかと思っていた矢先、イサコは金沢黒客メンバーの幻影らしきものを見る。その怪現象に頭をかしげていると、今度は空間に黒い穴が開き始めている場面に遭遇する。そこにはサオリの姿が。イサコはサオリを止めようとするが、そこで強烈な地震に襲われ、しばし意識を失う。目が覚めるとサオリの姿も黒い穴もなくなっていたが、今のが黒井地区における第1の事件の真相なんだと確信する。幸いメガネは無事だった。

                  ・第1・第2の事件の真相
                   この2つの事故の首謀者はミチコだった。彼女は廃ビル事件の時のヤサコとの再会で刺激を受けて自我を獲得した。すると今度はもう1人の生みの親であるイサコに会いたがったらしい。プロジェクトチームもその時彼女を大黒の空間に置くのは危険だと判断し、金沢の「新空間」に移していた。その好機でミチコはイサコとの接触を試みる。しかし「新空間」はイマーゴの影響力が少なく、イサコの思念を辿ってイサコの位置を把握することできなかった。そこでミチコは強力なイマーゴの気配を辿ることにした。イサコレベルのイマーゴ保持者はそうはいない。最もイマーゴの気配が強いところにイサコはいるだろうという判断だった。しかしこれが悲劇を生む。
                   第1の事件の現場にイサコはいなかった。ではなぜミチコはそこに「新空間」への入り口を開いたのか。それは彼女が、イサコとは別の強力なイマーゴ保持者をイサコと取り違えたからだ。イマーゴの気配だけでイサコを特定するのは限界があったのだ。
                   この事故に黙っていなかったのがプロジェクトチームの指揮官、神崎だった。ミチコの意図するところはわからない。が、ミチコは入り口を開こうとしている。かと言って「新空間」の神である彼女を制止することは最早できない。そこで神崎はある手を打った。
                   神崎に選ばれたのは他ならぬ桐野沙織。彼女の家族は昨年の交通事故の被害者で、今はメガマス病院に入院している。言い換えれば神崎がその身を押さえているということにもなる。サオリに選択の余地はなかった。
                   サオリに与えられた任務は、ミチコが「新空間」への開くことを阻止すること。そのために神崎は専用の暗号を与える。サオリにかつての空間管理室と同じ役割を与えたのだ。神崎が彼女を使った目的は、「新空間」プロジェクトを嗅ぎ回る勢力への目くらましという意味もあった。一見メガマスにとって敵か味方かわからない得体の知れない少女の存在は、思惑通り金沢の空間設計室を混乱させた。そんな中、彼女は忠実にその任務をこなしていった。それはもちろん、母と姉のためでもあった。
                   第2の事件でミチコはイサコの位置を特定したようだった。学校において空間の異変を観測したサオリは授かった暗号を駆使して、なんとか入り口の出現を抑えようとする。しかし惨事にはならなかったものの、入り口は開いてしまい、そしてそこをサオリはイサコに見られてしまった。イサコはこれによりサオリが入り口を開いたものだと勘違いする。サオリは任務上、このことを他言できないという葛藤を抱えることになる。
                   また、第1の事件の直後で死んだ電脳ペットが帰ってくるという現象が起こったこと、第2の事件でイサコが金沢黒客メンバーの幻影を目撃したこと、それは「新空間」がパラレルワールドであることが起因している。この2つの事件で、電脳ペットなどの「新空間」の住人が、その入り口から通常空間に入りこんでしまったのだ。ただしそれが”人”であった場合、通常空間では長く生きられないらしい。そのため結局帰ってくる電脳ペットだけが話題になった。
                   
                  ・第3の事件 電脳ペットの集団奇怪行動及び電脳ナビシステムの誤作動 4月19日(月)
                  (本編第16話)
                   第2の事件の翌日に、大黒の空間管理室に勤めていた一郎と玉子は金沢に派遣された。目的は立て続けに起こった2つの事故の調査して、大黒での事件との関連性を確かめるためである。
                   一方イサコの方は自称雑誌記者大谷英夫なる男に声をかけられる。彼はイサコ達と同様に第1の事件の真相を調べるうちに、サオリの正体を追うようになったという。イサコは警戒を解かなかったものの、大谷と手を結ぶことに決める。
                   第2の事件からしばらくは静かだった金沢市。そんなところでメガマスはかねてから決定していたメガネの不具合の公表に踏み切った。同時にその場で電脳ナビシステムの無期限停止措置についても発表する。
                   第3の事件が起こったのはこともあろうかまさにその日だった。仲間のユイと一緒に黒井交差点近くを歩いていたイサコは妙な空気を感じる。するとユイの電脳ペットが交差点に突っ込むように走りだしたのだ。イサコの機転でなんとかそのペットは軽症で済んだものの、同じく交差点に突っ込んできた電脳ペットが車にひかれてしまうというショッキングなシーンを目撃してしまう。後に話を聞く限りでは、このペットの奇怪行動は至る所で確認されたらしかった。
                   またその日、イサコの接触してきた大谷のセダンが黒井交差点で後続車に追突されるという事故も発生した。その後続車は電脳ナビシステムでの自動運転中であり、その事故はシステムの誤動作と考えられた。

                  ・第3の事件の真相
                   この事件においても原因はミチコにあった。ただし厳密に言うなら、ミチコのAIをシャットダウンしたことにより、「新空間」に変異が起こったことが原因だった。
                   神崎は第1第2の事件を受け、ミチコの暴走をなんとか食い止められないかと考えていた。しかし彼女の意志をコントロールできない以上、彼女自身の機能を止めなければならないという結論に至る。ミチコは「新空間」の安定をもたらすために生まれた存在だが、今その機能を停止すればどうなるのかという実験もかねてミチコを止めるという処置を施した。しかしミチコの力に依存していた「新空間」は案の定崩壊を始める。ただしそのしわ寄せは、サーバーを共有している通常空間の方にも押し寄せた。「新空間」は世界のすべてが電脳制御されているが、そのコントロールを失って通常空間において電脳制御されているものに干渉してしまったのだ。通常空間で電脳制御されているものというのは、主に電脳ペットと電脳ナビシステムがあげられるが、今回は特に電脳ペットに多大な影響を及ぼしたのだ。
                   この事態を受けて神崎は即刻ミチコを復活させる。すると「新空間」はなんのことなく安穏を取り戻した。これによりミチコを停止することは最早叶わないことだと思い知る。神崎はミチコの生みの親である技師に、ミチコの意志をコントロールするプログラムの完成を急がせた。

                  ・イサコとサオリの衝突 4月21(水)(本編第17話)
                   一連の事故の真相を掴み損ねていたイサコは、サオリを重要参考人だと信じて何度も話し合いを持とうとしていた。しかしサオリはいっこうに心を開いてくれない。イサコはサオリが自分の過去と重なってますます気がかりになっていた。そしてサオリをウラで操る協力者がいるのではないかと推理していた。
                   そんなサオリを追って黒井地区にやってきてイサコは、同じく事故の調査にあたっていた玉子と再会する。イサコは事情を玉子に話し、空間管理室の権限でサオリに事情聴取をとるように頼んだ。玉子もそれを受けてサオリに接触する。しかしサオリは玉子に対して攻撃を仕掛けた。それに失望したイサコは、もう力づくでサオリを止めるしかないと感じる。そこに金沢黒客も加わり、サオリと対峙した。しかしサオリは新暗号を駆使していてなかなか破れない。ところがそこに現れた大谷がサオリの暗号を無効化するという離れ業をやってのけ、形勢は一気に逆転した。かと思えば、今度はそこに飛来したキューちゃん達があろうことか金沢黒客を攻撃し始めた。結局それによりサオリを取り逃がしてしまう。
                   今回の騒動でもサオリは一貫して「新空間」への入り口が開いてしまうのを防ぐために動いていた。そこに飛来してサオリを救ったキューちゃんも、サオリのバックにいる神崎の指示でプロジェクトチームが空間設計室からハッキングものだ。サオリはすっと勘違いされたまま、イサコ達の妨害を耐え忍んできた。しかしそろそろこれも限界だと感じ始めたところで、神崎はイサコの行動を封じるためにサオリにある指示を出す。そして最近事故について嗅ぎ回っている設計室に対しても手を打つことにした。

                  ・黒井交差点交通事故の真相暴露 4月23日(金)(本編第18話)
                   運転手の過失として処理されていた黒井交差点の交通事故は、実は空間設計室が管理しているサーバーの故障による電脳ナビの誤作動が原因だった。当然設計室はサーバーの点検を怠ったとして責任を問われるはずである。ところが当時の設計室のチーフはこれを隠蔽し、金沢支社上層部に申告して資料の改ざんを行った。さらにチーフは自らの身の安全を確保するため設計室を辞することに。上層部も彼から真実が漏れるのを嫌い、その後もメガマス関連会社で面倒を見ることにする。代わって設計室のチーフに就任したのが一郎の義弟である酒井友和だ。彼は交通事故の真相を一切聞かされず、警察の発表が真実だと思い込んでいた。
                   ところがここに来てその真相が暴露される。その記事を書いたのは他ならぬ大谷だが、情報を彼にリークしたのは神崎の仕業だった。メガマスに反感を持つ大谷に、自社にとって都合の悪い記事をあえて書かせたのは、空間設計室の機能を停止させる口実を得るためである。
                   空間設計室を業務停止にするのには理由があった。それはひとえにこの部署が本社の指示によってプロジェクトについて嗅ぎ回っているからである。実は本社の空間管理室本部長は、この設計室に一郎と玉子以外の調査員を既に送り込んでいた。むしろ、何かと動きの目立つ一郎や玉子を派遣したのは陽動の意味合いが強かった。本部長としては、一郎や玉子がプロジェクトの真実を掴むことなど期待していなかったのだ。
                   ところがそれすらも見抜いていた神崎は、面倒なので空間設計室全体の業務を停止するように画策した。そのためにこれまで温めきたこの交通事故の真相を使った。
                   かくして神崎の思惑通りに空間設計室の機能は停止する。チーフの友和は交通事故隠蔽の責任をなすりつけられて処分されることが濃厚となる。

                  ・イサコの孤立
                   一方でイサコにも受難が訪れた。『イサコはミチコを呼び出そうとしている。そして黒井地区の空間事故や先日の電脳ペットの集団奇怪行動の原因も彼女にある』と掲示板に書き込まれたのだ。その2つの事故で何らかの被害を被っていたクラスメート達は一斉にイサコを責め立てた。それは真実ではないとイサコは主張し続け、仲間達もイサコをかばうも、クラスメート達はいきり立ってそれを聞こうとしない。あげくその仲間達にも怒りの矛先が向けられ、言われも無い誹謗中傷を受けるのを見てイサコは耐えられなくなった。彼女は自分のメガネを壊してもいいとクラスメートに差し出そうとする。しかし寸前のところで先生がやって来て、その場は一旦おさまった。
                   この書き込みを行ったのはサオリだ。イサコの行動を封じるには、他人にイサコのメガネを破壊させることが望ましかった。イサコほどのメガネ使いと正面からぶつかり合うのはリスクが大きい。サオリは本意ではなかったものの、神崎の指示だったので断るわけにもいかなかった。
                   
                  ・サオリとの決着へ
                   クラスメートからのバッシングで傷ついたイサコを、金沢黒客のメンバーは励す。その書き込みがサオリのものであることは、メンバーの1人が直接本人から確認していた。イサコはサオリとの決着をつけるために不屈の精神で再び立ち上がる。なんとしても彼女の行動を封じなければならないという決意で。
                   また、金沢黒客のメンバーはサオリが次に行動を起こす場所と日時に関する情報を得ていた。イサコはそれに備えて、サオリの暗号を無効化するために暗号を組もうと試みる。やたらとスキルが高い大谷の協力と、玉子ルートでメガばあからの支援も得て、イサコはついにそれを完成させる。これでようやくサオリの行動を封じる準備は整った。

                  ・第4の事件 イベント会場空間事故 4月25日(日)(本編第19話)
                   この日、メガマス金沢支社に隣接する緑地公園広場ではメガネゲームのイベントが開催されていた。サオリは神崎の指示で、このイベント会場でミチコが「新空間」への入り口を開かないように警備していた。それは第1の黒井地区での事故を受けてのものだ。あの時はイサコと同レベルのイマーゴ保持者がその場所にいたために事故が起こってしまった。今回のイベントは1000人以上の子どもが集まるという。確率的にも同レベルのイマーゴ保持者がその中に紛れ込んでいる可能性は高い。そのために入念にサオリは暗号を仕掛けていった。
                   ところがその暗号はことごとくイサコ達に解除されてしまう。イサコ達はサオリがこのイベント会場で何らかの行動を起こすものだと見て、迅速にそれを阻止するために行動していたのだ。サオリにとって誤算だったのはイサコ側にいる大谷の暗号のスキルがとんでもなく高いことだった。神崎から与えられた新暗号はそうそう破られるものじゃないと思っていたサオリは、この事態に愕然とする。ミチコに狙われているイサコが会場に現れ、入り口の出現を封じる暗号は解除されてしまった。かくしてミチコがこの会場で「新空間」への入り口を開く条件はきれいに整った。
                   サオリはイサコのことを嫌ってはいなかった。むしろ何度も拒絶しているのにも関わらず親身になって相談にのってくれようとするイサコに、冷淡な言葉をかけたり、バッシングにつながる書き込みをしたのを申し訳なく思っていた。しかしこれまでは任務のために素性を明かすことはできなかった。
                   しかしこうなってはイサコがミチコに連れて行かれてしまう。サオリはその思いからここでイサコにすべてを打ち明けた。次に愕然としたのはイサコだった。
                   一方の神崎はサオリの任務失敗を受けても平然としていた。もはやここでの事故はプロジェクト自体に影響を及ぼすものでもない。むしろ事故によってメガネの信頼が落ち込むことの方が神崎にとっては好都合だった。既成事実として完成間近に迫っている「新空間」プロジェクトをメガマス再建の切り札として本社に公認させることが、金沢支社長の目論見だからだ。本社が窮地に立たされることにより、社長がプロジェクトを認めざるを得ないというシナリオは現実味を帯びる。神崎と支社長はこの件には一切干渉しないで見物を決め込むことにした。
                   なんとかミチコが入り口を開いてしまうのを防がなければならなくなったイサコ達はサオリとも協力して大胆な作戦をとる。ミチコに狙われているイサコを囮として残し、後のメンバーはイベント自体をぶち壊しにして集まった子ども達を会場から追いやるというものだ。それが完了した後、イサコも会場を離れれば事故は防げるという計算だった。
                   ところがメンバー達の読みは外れ、ミチコはイベント会場の中心に入り口を出現させた。イサコはそこに飛び込んでいき、暗号炉を起動させて物理結界を放ち、入り口であるブラックホールを封印する作戦に出る。しかしミチコの強大な力はイサコ1人で食い止めることができず、イサコの電脳体はミチコにさらわれてしまう。
                   「新空間」に入り込んだイサコは、そこが現実世界のパラレルワールドであることを知る。そしてミチコからは、ミチコの生みの親である技師がメガマスに対する復讐を果たそうとしていると聞く。その復讐劇が近く大黒で起こることも。その技師もサオリの家族か親戚であることをイサコは直感する。ミチコはそれらを伝えたいがためにわざわざイサコを連れていこうとしていたという。話が終わるとミチコはすんなりとイサコを現実世界に戻した。

                  ・大黒行きへの決意 4月26日(月)
                   なんとか現実世界に戻ってこれたイサコは体も特に異常はなく、翌日月曜日には退院する。イサコはそこで事情聴取を受け、ミチコの言葉を本社の調査員に伝えていた。
                   サオリを含めたメンバーでミチコの言葉について相談し合ったイサコは、連休中に大黒市に行き、今回のことを大黒のメンバーに伝えることにした。ミチコの予言するような事故をもう起こさせはしないという思いで。
                   一方プロジェクトチームの方でも動きがあった。暴走していたミチコの意志をコントロールできるプログラムを、例の技師が完成させたのだ。これで「新空間」には本当の安定がもたらされるはずだった。
                   
                  ・サオリの失踪 4月27(火)
                   「新空間」に入り込んだイサコと、これまでプロジェクトチームの指示で動いていたサオリには本社がボディガードをつけていた。それはもちろんプロジェクトチームが秘密保持のためにこの2人に手を出すのを防ぐためだ。
                   ところがイサコが玉子から聞いたところによると、サオリは本社の事情聴取では非協力的だったらしい。特にサオリが1人で事情聴取を受けた時には何も話したがらなかったという。イサコは自分たちにはすべて打ち明けてくれたサオリのその行動を訝しんだ。そして何かまだサオリが秘密を抱えているのではないかと思った。
                   そうイサコが考えていた矢先、サオリは金沢市から姿を消した。イサコの不安は的中した形となった。


                  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
                   
                   すみません、長くなりました。以上で第2部についてはざっと振り返ることができたかなと思います。これが第3部への手がかりになれば幸いです。

                   ところで復習の途中で後述とした箇所、今作のミチコに関しては少し解説が必要かなと思いまして、この場で説明させていただきます。アニメのミチコに対する僕なりの解釈が混じっているので、イマイチピンと来なかった方もいるかもしれません。

                   まずアニメのミチコがどのような存在だったのか。あれは知能ではなくてプログラムなのだと僕は考えています。どう違うのかというと、プログラムというのは他律的に行動が規定されるものであり、かつそれを繰り返すだけしかできないというのが僕の中の解釈です。言い換えれば知能との違いは「意志」の有無です。

                   アニメのミチコはもちろん多少は知能らしいものを持っていますが、基本的にその行動はある1つのルールによって規定されています。それは「イサコの幸せを守る」ということです。それを彼女の「意志」と呼ぶことも可能ですが、彼女は誕生した時点でそのような運命を背負わざるを得なかったのであり、行動の自由があったとは思えません。(哲学的な話を持ち込むつもりはないので、言葉の使い方が乱雑になってしまっているかもしれませんがお許しください)

                   神崎が当初目指したのはこの行動原理を持つミチコです。つまり「イサコの幸せを守る」という部分を「新空間の安定をはかる」と書き換えれば済む話でした。ところがミチコを復活させた技師はそれを「桐野詩織の幸せを守る」としました。桐野詩織が「新空間」にいるのなら、その延長線上に「新空間の安定」という条件が存在しますのでそれはそれで問題は発生しません。

                   しかし技師がミチコを人工知能AIとして復活させたのが問題でした。つまりミチコはプログラムから知能へと進化したのです。知能は先ほど「意志」を持つものと説明しました。ミチコがヤサコと再会することによって自我を獲得したというのは、「意志」を持つようになったと言い換えられます。ミチコは人格を手に入れて、自分が何をすべきかを自ら考えるようになりました。

                   しかし「桐野詩織の幸せを守る」という行動原理は失われていません。それを念頭に置きつつミチコは余計なことをし始めるんですね。金沢編で言えばミチコは「イサコに会いたい」という意志を持つようになって、それが一連の事件を引き起こしたということになっています。

                   そして金沢市編ラストで技師が完成させたプログラムは彼女の意志を完全に制御するものです。これによりはじめの冷酷な感情のないミチコ状態に戻るのかと言えばそうではありません。ミチコは自らの考えや意志を持っているにも関わらず、その意志に反する命令にさえも逆らえなくなるということです。神崎の指示を無視することができなかったサオリのようになるということですね。この辺りは第3部にて、物語の核心に関わってきます。

                   というところで、第2部に関しては以上を持ちまして完結を宣言したいと思います。サイドストーリーも書きつつ、今回の総復習も書き始めてから後悔するほど長々したものとなり、もちろん本編の長さも言わずもがなですが、とにかく疲れました。やっと第3部に入ったというのにバテバテです。

                   そういうことなので、当ブログは来週からしばらく軽めの内容で済ませようかと思っています。と言いますか、取り上げるネタの問題で後2週分は書く内容は決めてあるのですが、それ以降はまったく考えておりません。少しばかり第3部を本腰入れて書きたいなとも思っていますので、10月末から11月はブログ全休も視野に入れています。本当に勝手を言いまして申し訳ありませんが、ご理解いただければと思います。

                   その向こう2週間ですが、読書の秋フェアということで、「川島の本棚」を2週続けてお送りしたいと思っております。次週予告ですが、電脳コイルファンなら誰もが1度耳にしたことはあるはずである『六番目の小夜子』をご紹介いたします。そこでは此花先生のレビューもいただけることになっていますので、乞うご期待です。

                   それでは『電脳コイル 春』第3部。どうか最後までお付き合い下さい。








                  挨拶・記念企画 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |

                  ブログ開設1周年

                  2010.07.30 Friday 22:28
                  0
                     
                     最近、此花さんの『冬を抱いてほころぶ花』の完結や、新作『3.00』の告知、そのほかコメント欄にはたくさんの書き込みをしていただいてにわかににぎやかになりましたが、気がつくとこのブログを開設してちょうど1年が経過していました。ここもこれだけ長く続けられているというのは、ひとえに皆さんの支えがあったからこそです。本当に感謝しています。

                     そういうわけで今回は、こちらのブログでこの1年にあったことを振り返ってみたいと思います。なんかいつもこんなことを書いているような気がしますが、気にしないでください。

                     ブログ開設のきっかけですが、僕は行き当たりばったりな人間なので、こちらの方も「ブログでも書こかな」と思った時にもう作り始めていました。計画性も何もありません。とにかく『春』のアクセス数アップのためには、労力を惜しまなかったという感じです。

                     ところが始めたはいいものの、正直宣伝になっているのかなとだいぶ不安になっていました。今でこそたくさんのコメントをいただくようになりましたけど、初めの半年くらいは僕からの一方通行だった気がします。誰が読んでくれてるんだろうねと、あの時は結構自嘲気味に記事を書いていました。

                     そうしてコメントをいただくようになってアクセス数も伸びてきたところで、この前YAHOO!の検索エンジンに「電脳コイル 二次創作小説」と入れたらどうなるかなと思って試してみたんですが、ちゃんとこのブログが1番初めのページに表示されるようになっていました。とりあえずこのブログの目指すところは達成できたのかなとホッとしています。ところで皆さんはどうやって『春』を見つけられたんでしょうかね。以前はかなり根気を入れて探さないと見つけるのも難しかったと思うのですが、そのくらいの労力を費やして見つけていただいたのであれば、本当にありがたいことです。

                     そうしてコツコツと書き上げてきた記事は今回も含めると56件。そのうちの1/3は『黒客戦記』になるんですけど、それでもなかなか色んな話題に触れきました。そのうちのいくつかを掘り起こして、ああこんなのもあったなあと懐かしみたいと思います。特に序盤に書いた記事で、皆さんに今一度ご意見を聞いてみたい話題というのもありますので。

                     最初は挨拶的な記事が多かったですね。僕は「電脳コイル」の第一印象についてはそれほど良くはなかったという話もしました。改めてご説明しますと、パッと見では低年齢層向けのアニメに見えたというのが1番の理由です。興味を惹かれるようになったきっかけが第4話の「大黒市黒客クラブ」という話は何度かしましたね。これは1番最初の記事で僕が書いたことなんですが、皆さんの「電脳コイル」の第一印象ってどんな感じだったんですかね。これは1年越しに聞いてみようかと思います。

                     その後はオフィシャル小説や僕の小説の話も振りつつ、番外編もやりました。『サマーウォーズ』についてです。やっぱり僕はこの雰囲気も好きですね。結局あの後、映画も見に行きました。そして来週早くも金曜ロードショーで放送されるそうです。皆さん一緒に見ましょう。今夏の番外編はアリエッティでもやりましょうかね。ウソです。

                     そこからは多彩なテーマを取り扱いましたね。登場人物についてや、テーマソングについて。5回も取り上げながら毎回迷宮の中にはまってしまった古い空間に仕組みについて。印象深いところではコイルメンバーの学校成績番付ってのもやりました。そのランキングをもう1度出してみましょうか。
                    1位 ハラケン
                    2位 イサコ
                    3位 アイコ
                    4位 ガチャギリ
                    5位 デンパ
                    6位 ヤサコ
                    7位 フミエ
                    ブービー ナメッチ
                    最下位  ダイチ

                     さらに科目別の成績最優秀者はこんな感じでしたね。

                    国語 アイコ
                    算数 ガチャギリ
                    理科 ハラケン?(生物部の部長だけに)
                    社会 ガチャギリ?(世の中のお金の流れに詳しそうなので)
                    体育 ダイチ、フミエ
                    音楽 アイコ
                    家庭科 ヤサコ
                    図画工作 デンパ

                     なぜかイサコの名前がありませんが、僕のイメージでいくとこんな感じです。これについてもご意見があればコメントください。

                     そしてこのブログや、ひいては僕の執筆活動においてもターニングポイントにもなったのが、『電脳コイル プロローグ』を取り扱った記事でした。これが此花さんとも交流するきっかけになったわけですね。

                     実はこの記事もネタがないので仕方なく取り上げたという感じだったんですよね。普通お蔵入りした企画のアイデアを紹介しないじゃないですか。それをダメもとで読者の皆さんに書いてもらえませんかなんてムチャクチャなお願いを出したんですけど、ありがたいことに此花さんが挙手してくださったんですよね。あの時は言ってみるもんだなと思いました。思いつきでこの記事をアップしなければ『プロローグ』はもちろん、新作の『3.00』も生まれなかったと思います。巡り合わせとは不思議なものです。

                     年末にはメガネの歴史についても取り上げました。あの時に書いたウラ設定は『春』本編にはあんまり絡んで来ないと言ったのですが、第2部になって普通に出ましたよね。具体的に言うと大谷記者の昔話のパートでこれが話題にのぼっています。復習したいという方は、こちらの記事も合わせて参照してください。

                     そして年明け1発目は初のショートストーリーとなる、『電脳コイル お正月』をやりました。あれは途中で終わっているんですが、続きは来年のお正月に書きたいと思います。ショートストーリーと言えば、『電脳コイル バレンタイン』というのもやりましたね。

                     そんな感じで年明けからはほとんどショートストーリーしか書いていないという印象があります。そうして始めたスピンオフ小説の第1弾『黒客戦記』が今月初めまで続いていたと。間に「川島の本棚」を挟みながら今に至るというわけですね。

                     これからの予定は、とりあえず前にも告知しましてたくさんご意見をいただいております、『春』の第2部のサイドストーリーを片付けます。まだちょっと書き始められていないので、これについてはもうしばらくお待ちください。それが終われば『春』も第3部に入っているところでしょう。そこからはちょっと『春』に集中したいので、こちらのブログでのショートストーリーの連載はできなくなるんじゃないかと思っています。ブログの記事自体も、かなり簡潔なものになるかなと思います。あくまで予定です。最近はコメント欄の方が盛り上がるので、本文を放置してもいいんじゃないかと思い始めているんですけどね。とりあえずこれからの流れはそんな感じです。

                     それでは引き続きこちらのブログをよろしくお願いします。本日はこの辺りで。水分はこまめに補給しましょう。
                     



                     


                     
                     


                     




                     
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                    連載1周年・第1部完結・第2部突入記念特集

                    2010.03.26 Friday 23:33
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                       はい!『電脳コイル 春』は、さきの3月24日に連載1周年を迎えました。そして、まるではかったかのように先週第1部が完結しまして、昨日の更新から物語はいよいよ第2部に突入しております。これはまったくの偶然なんですけども、ちょうど分量的にも折り返しということで非常に気持ちがいいです。そこで今回はですね、この1年を軽く振り返りまして、また反省点なども出しつつ、第1部の簡単な復習をしたいと思います。それは今後の第2部にもつながっていきますので、ここで1度整理してみてください。まだ第1部を読まれていない方はネタバレ注意です。

                       それから、最新話を読まれた方ならお気づきだと思いますが、小説の背景色を淡い桜色に変えてみました。第2部に入ったということで気分を切り替えるということもあるんですが、やはり小説の雰囲気に合わせようかと思いまして。もしですね、これじゃ読みづらいというのがありましたら言ってくださいね。

                       さて、本当にあっという間だったこの1年。おそらく1日たりとも電脳コイルのことを考えなかった日はなかったと思います。その辺の小説執筆の反省は昨年末にこのブログでも書いておりますのでここでは省きましょう。今日はみなさんに1つお詫びをしたいと思います。

                       登場人物の問題なんですが、一応ですね、『春』にはアニメ「電脳コイル」の主要登場人物をほぼ網羅して登場させているつもりです。第1部ではイサコは名前だけしか出てきませんでしたが、それは第2部をイサコを中心とした金沢編にするという構想があったからです。しかし「電脳コイル」の主要登場人物でありながら『春』ではほとんど出番のないキャラが思いつくかぎりで2人います。みなさんは誰だか思い浮かびますかね。

                       1人はヤサコの妹、京子です。『春』では第2話のはじめにちょこっと顔を出したのと、第13話の本当にラスト、ヤサコと共に入学式に向かう場面でしか登場していません。そんなことをいちいち覚えているくらい出番がないんですよね。アニメ・オフィシャル小説では結構な存在感を出しているんですけど。

                       その明確な理由が自分でもよくわからない。おそらく1番の理由はストーリーに絡ませにくいというのがありますかね。京子の役柄はとにかくトラブルメーカーという印象が強いんですが、そうなるとほとんどアニメの京子とやっていることが変わらないのでつまらないかなあと考えたのだと思います。それに『春』の場合は、トラブルメーカーは黒客の役割であって、その役回りがまわってこなかったのかなと。

                       そしてもう1人はアイコです。彼女は第3話くらいまでは毎回登場していましたが、第4話に田舎に帰ってしまい、以降「いざ、決着の時」でモニターを通して出てきた以外はまったく出番がないです。大黒で大変な事件が起こっているにも関わらず。それでかわいそうなんで、第13話最後のコイル探偵局と黒客のお花見のシーンで登場させようかなと思ったんですが、それじゃ都合が良過ぎやしねえかと、それも断念しました。

                       第4話というのは相当初期に書いたものなので、僕もなんでアイコを田舎に強制送還したのかイマイチ覚えてないんですよね。確かにアイコは電脳力には乏しく、ヤサコ達とは少し距離があります。そのアイコをどこまで事件に絡ませるかというのは難しいところですよね。オフィシャル小説の山田幸乃もいい具合にヤサコやダイチ達と絡んでいますが、そう言えば最近は顔見せねえなという印象があります。アニメでもシリアス展開になったあたりからはけていった感じで。

                       彼女は電脳の事故とは無縁なキャラなのかなと思いつつ、あれこれ悩むくらいならいっそのこと大黒をしばらく離れてもらおうとあの時は考えたのかもしれません。いずれにせよ京子の件も含めて、ファンの方には彼女達が『春』で活躍の場が与えられていないことを、ここで深くお詫び致します。以降彼女達がどうなるかは、構想中です。

                       さてここからは、第1部のポイントを復習していきたいと思います。非常に長かった第1部ですが、僕のやりたいこと、ポイントは非常にシンプルでした。1つはコイル探偵局と黒客の対立を描く。そしてもう1つが、アニメでそのまま放置された僕の腑に落ちなかった部分を解決させるということです。その骨格に加えて第2部と第3部に色濃く現れるこの小説のオリジナル展開の伏線を、せっせと張るというのが第1部の目標でした。

                       まず1つ目ですが、アニメ・小説ともに案外コイル探偵局と黒客の対立構造が見えてこないなというのがありまして、それをはっきり書きたかったんですよね。この『春』の展開は、小説版の序盤から中盤にかけての展開の逆です。小説版の彼らは、まず対立があって、そこで決行した学校での肝試しで起こった事件を調べるために結託する、という流れでした。それはそれで面白いのですが、やはり物足りないと感じる部分もあって、それは対立関係にある時の彼らの心情描写だと感じていました。なら『春』ではその逆をやろうと、そう思ったわけです。『春』は結託→対立という流れでした。最終的にはですね、元の鞘におさまった以上に、両者はよりかたい絆で結ばれたように思います。アニメの最終回の中学生になった彼らの1カットにも合わせたかったですしね。

                       そしてもう1つの方ですが、僕がアニメを見て1番腑に落ちなかったのは宗助ですね。結構な罪を重ねた宗助が、最後には失踪してしまうと。それはそれで永遠に闇の中を彷徨うのと等しい罰でもあると思うのですが、やはり形のある何らかの罰を宗助には与えたかったというのが本音です。1番は取り残されたタケルの気持ちはどうなるんだということで、やはり宗助にはしっかり罪を償っていただいて、元の兄弟に戻ってほしいなと思うわけです。もちろん、お縄についた宗助は今後も重要なキャラの1人です。何やらメガマスも知らないような情報を握っているような素振りですが、果たして。

                       第1部の復習ということで進めていますが、ここからは特に書いている僕でもややこしいなと思った部分、メガマスや警察内における組織の対立構造を整理しておきたいと思います。この小説は子どもの世界に加えて大人のビジネス世界の闇を同時に描いているつもりですが、やはり後者はややこしくなってしまいます。図示できないのが残念ですが、できるだけわかりやすくこの複雑に絡まった世界を紐解いてみたいと思います。

                      ・メガマス
                       作中のメガマスは現在、水面下で旧幹部達と戦っています。旧幹部達とはメガネの不具合に気付いていながらもそれをひた隠しにしていた保守派のことで、あの夏の事件を解決を期に、社長桝田章太郎はじめ、前社長などメガマスお偉方の判断で無期謹慎の処分を受けました。しかし旧幹部達はこれで終わったとは思っておらず、現社長桝田をひきずりおろし、元の地位への返り咲きを狙っています。
                       彼ら旧幹部は、はじめはこの状況を楽観していました。メガマスの上層部はまだ経験の浅い次世代に取って代わったわけですが、それは同時に会社の舵取りも困難になるという一面もあります。また、メガマスの業績は確実に落ちはじめていました。あの夏の事件でメガマスは強制フォーマットを実行したことを契機に、メガネの信用が失われ始めたというのが主な原因です。メガマスは世界的大企業ですが、しかしもちろんその経営は銀行の融資で成り立っています。もし今の業績悪化を銀行側が危惧すれば、その立て直しに銀行が旧幹部達を元の地位に戻すという可能性は十分考えられました。まして桝田は今までのメガネにまつわる不祥事をすべて公にすると公言していたので、銀行側の不安も確かに存在していたのです。
                       その状況はもちろんメガマスの新幹部達もわかっていました。その新しいメガマスの経営立て直しの切り札として進められていたのが、一郎を責任者とする「電脳医療補強プロジェクト」です。このプロジェクトは、猫目技師と一郎の父である宏文が開発した電脳医療をより完成形に近づけるというものです。具体的ま目標は、誰もがイマーゴを使えるようにし、イサコが受けたのと同じ精神治療システムを安全かつ普遍のものとすることです。このシステムが完成すれば現代医療は飛躍的な進歩を遂げると考えられていました。
                       そしてもう1つメガマスは手を打とうとします。旧幹部達の復帰の芽を摘むため、隠蔽を行った彼らを社会的法に則って裁くことです。そしてそれは、カンナの死が誤解されていたことを悲しんでいたハラケンの意志とも合致しました。そこでメガマスはこの訴訟を成立させるために、検事の桜井仁に相談を持ちかけます。桜井の話では、カンナの事故の真相を確かな証拠で立証できれば、旧幹部達を裁くことができるというものでした。そこでメガマスは、桜井のルートから大黒警察のある部署に、カンナの事故の再調査を依頼することにしました。

                      ・警察
                       カンナの事故の再調査を依頼されたのは、大黒警察内における小規模な部署、竹下直樹を責任者とする電脳犯罪対策係でした。そして県警交通課の刑事のうち何人かもこの再調査に参加することが決まります。
                       そもそもカンナの交通事故の真実は、当時の大黒警察の交通課に、メガマスの旧幹部達が圧力をかけてもみ消したというのが真相です。大黒市政に大きな影響を与えているメガマスなら、警察に介入することは当時は簡単なことでした。しかし今回の再調査は、とにかく極秘裏に進めることが絶対条件となっていました。この再調査とメガマスとの関係は公にされてはいけない理由があったのです。
                       実は既に旧幹部達はこの再調査に関する情報を掴んでいました。この再調査が完遂されれば、自分たちの立場はますます危なくなると彼らは考えます。そこで彼らは警察組織全体に圧力をかけるということをやってのけました。
                       彼ら旧幹部達は在職中に色々と政界の要人達との人脈を作り、このような事態に備えていたのです。彼らは親しい警察官僚に口利きをして、県警と大黒市警への監視を強化するように依頼しました。もちろん目的は、事故再調査の阻止。これによりカンナの事故の真相は彼らが作り上げた虚構が絶対的真実となり、それを覆そうとするメガマスは警察への介入を行おうとしている悪として社会的には認知されます。これではもちろんメガマスは慎重に動かざるを得なくなります。彼らはその再調査を、電脳犯罪対策係に託すほかなかったのです。
                       その再調査も思うようにいかなかったのですが、直樹達は一筋の光を見いだします。事故の真相を必ず知っているであろう、猫目宗助が大黒市で目撃されるようになったことです。

                      ・株式会社サイバーゲートウェイ (CGW)
                       宗助もメガマスの失墜を目論む1人でした。彼は失踪中に拾われたCGWにおいて、メガマスへの復讐計画を立てます。そこで目を付けたのはメガマスが切り札にしている「電脳医療補強プロジェクト」において開発された、「空間制御システム」でした。
                       メガマスに送り込んでいたCGWの内通者の活躍により、宗助達は「空間制御プログラム」のハッキングに成功します。そして大黒市内での実験を繰り返し、ついに計画を実行に移しました。それが2027年4月1日の交通における電脳ナビシステムの誤動作を生み、そしてその日の夜、4人もの子ども達が意識を失うという事件につながります。しかしその計画は失敗に終わり、宗助達はその日のうちに大黒市から撤退します。

                      ・旧幹部達のメディア操作
                       旧幹部達は宗助の行動を見て喜びます。4月1日の事件は、メガマス現政権に確実にダメージを与えるものとなったからです。さらに旧幹部達はメガマスを畳み掛けるために、積極的にメディアに情報を提供しました。自分たちが在職中とは逆の事を行ったのです。これにより、「空間制御プログラム」や「電脳コイル現象」の存在が社会で着実に知られることになりました。メガマスはそこで当初の計画を前倒しにして、すべての真実の公表を決意します。旧幹部達のメディア操作によって暴かれるくらいなら、迅速に自分たちからそのことを発表した方がまだ社会的な体面を保てると判断したのです。

                      ・宗助の逮捕
                       一方電脳犯罪対策係は、事件の翌日に思わぬ情報から宗助を逮捕します。宗助はそれをメガマスに潜んでいたCGWの内通者の裏切りだと考えました。
                       直樹達は宗助の逮捕により、カンナの事故の再調査も道が拓けたと安心します。しかしその現場に現れた大黒市警刑事課の刑事達は、執拗に猫目の身柄の引き渡しを要求しました。これは、旧幹部達に圧力をかけられて大黒市警内部を監視をしている部署が、この刑事課であったことを直樹に直感させました。旧幹部達はこれで猫目の身柄を押さえたことになり、再び事故の再調査への道は閉ざされてしまったのです。

                      ・神崎の暗躍
                       メガマスの幹部の中で、唯一の旧幹部の生き残りが神崎でした。彼は表面上ではメガマスのためを考えていると見せて、事件の時は社長の桝田に知恵を貸していました。しかしその一方で問題発言が多いのも事実。社長の桝田は彼をそろそろ幹部の座から下ろそうと考えます。
                       しかし神崎もウラで何かを進めているようで、一連の事件の展開はすべて彼の思い通りに運んだ模様。果たして彼の真の目的とは何か?そして、彼と電話で話していた人物の正体とは? 

                       
                       これで一応、第1部を大人のビジネスの世界から簡単に振り返ったことになります。何が簡単なんだか。非常に書いていて疲れました。しかしこれがみなさんの物語の整理に役立てられればと思います。

                       次回はこのブログで連載中の『大黒市黒客クラブ戦記』の第5話をお届けします。それでは今日はこの辺で。


                       

                       

                       


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                      振り返る2009年『電脳コイル』

                      2009.12.26 Saturday 21:57
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                         なんと!先日このブログにおいて始めてのコメント投稿がありました。コメントしてくださったのは、僕と同じく「小説家になろう」の方で電脳コイルの二次創作小説を執筆されている此花耀文さんという方です。そして連絡を取り合った結果、2つ前にこのブログで紹介した『電脳コイル プロローグ』を此花さんに書いていただくことになりました。バンザーイ/。今後は此花さんの小説もこのブログで支援していきたいと考えています。みなさんも是非、僕の小説ページのお気に入り小説から、此花さんの小説にジャンプして読んでみてください。それからこのブログのコメントの方も気兼ねなく投稿してくださいね。

                         さあ!今回は年内最終回スペシャルということで盛りだくさんでいきたいと思います。前回も予告しましたが、僕の小説執筆における反省や、ボツになったウラ話、そして今後の展望などを書いていきたいと思います。まずは、オフィシャル「電脳コイル」の2009年の動きを振り返ってみましょう。

                         電脳コイルの初回放送開始からはや2年半が過ぎたんですね。僕は再放送から見始めたので、電脳コイルと出会って2年ということになります。そして今年はまずBSでの再放送が2回ありましたね。現在も放送中です。やはりこの作品の評判が高いということでしょうね。そして小説版は8~10巻が発売されたのかな?こちらの物語もいよいよ終盤に突入というところですか。実は僕まだ9巻と先日発売されたばかりの10巻は読んでないんですよね。時間がない...ということはないんですが、僕は小説版の最新巻を読む時は1巻から読み返したいタチなんですよ。それでここのところ「電脳コイル」といえば僕の書いている「春」のことばかり考えていて、小説の方に気がまわらないんですよね。近いうちにまた読み返したいとは思いますが。

                         さて、ここからは僕が個人的に2009年を振り返っていきます。なんと言っても僕の2009年の最大の反省は、小説の連載を始めたことですね(笑)

                         実は僕の「春」は去年の夏ぐらいから書き始めていました。それで一夏頑張って3話目ぐらいまで書いたんですね。しかしなんとなく4話以降を書くモチベーションをなくしてしまいました。そこから約半年経った今年の3月。やっぱりこの物語を完成させたいともう1度決意します。しかし自分で書いて自分で読むだけならどうも張り合いがないし、どうせまた途中で投げ出すんだろうなと思い、覚悟の上で連載を始めました。物語を完結させる責任を自分に背負わせたのです。

                         これ書いているおかげで夜テレビを見ることもなくなりました。(好きな野球やサッカーは見るんですけど)なのでもう連載始めてからドラマを見ることもなくなりましたね。今や僕の娯楽は小説を書くことになっています。逆にその時間に映画とかを見てしまうと、「小説書かなくて大丈夫かな?」と不安になるようになりました。そんな執筆活動の支えになっているのは「面白いです」とか「続きが気になります」などの皆さんの声ですね。これを見ると頑張ろうっていう気持ちがわいてきます。

                         まあそれは置いといて、執筆活動におけるまじめな反省をあげていくと、まあまず誤字脱字が多いことですね。気をつけているんですがやはり読み返してみると結構ありますよね。逆に多すぎていちいち訂正する気もおきないんです。ごめんなさい。他には新キャラの名前を間違えるとか(これはさすがに修正しました)、 ユーザーページにログインできなくなって同名の小説をもう1つ立ち上げるとか、本当に読者の皆様にはご迷惑ばかりをおかけしています。申し訳ありません。

                         それでも僕の中のベストオブ反省点は、第6~7の「いざ、決着の時」ですね。ここからはこのお話を読まれた方に向けて書いていきます。感想の方でもお叱りを受けまして自分でも1度読み返してみたんですが、長いですね。長いだけならいいんですが、オチがあれじゃキツいですよね。決着がついたとかの問題じゃないですもんね。

                         オチはストーリー上変えることはできないんですが、それならもっと簡潔にしろって話ですよね。正直前編はまるまるいらなかったんじゃね?という声が聞こえてきそうです。

                         しかしですね、仮想空間に入り、自分が主人公となって冒険を繰り広げるというゲームの設定はぜひともやってみたいと僕は思ったんですよね。メガネが実現した時の夢として。それをやるならどんなゲームがしたいかと考えた時に、おそらく一般受けするのはRPG風ファンタジーの世界観だと思ったわけです。

                         実はあのお話は構想の段階ではコイル探偵局、黒客それぞれ3rd stageまで書こうと思っていました。そして最後にExtra stageと。それでまず1st stageをせっせと書いていったんですが思いのほか長くなってしまって、それだけで1話分使ってしまったのです。そこで2nd stage+Extra stageにしようかと方針を変えました。そうしてそれぞれの2nd stageはとりあえず序盤の方は書いたんです。書いたんですがふと、「やべこれ、まさかの前編、中編、後編になるぞ。さすがにそれもキツいだろ」と思って、泣く泣く2nd stageをカット。そこからExtra stageを書き始め、第6話が1st stage、第7話がExtra stageという形に落ち着きました。それでも長いんですけども。

                         そこでボツった2nd stageの内容、気になりませんか?気になる人は挙手/。なるほど、気になる方も多いようなのでそれでは紹介しましょう。 

                         2nd stageのコイル探偵局の舞台は、中世ヨーロッパの古城、諸国に名を馳せた勇者としてその国の国王に召還されたヤサコ達3人はある依頼を受ける。その城には昔その地を支配した暴君の怨霊が住み着いているという。その暴君のさまよえる魂を鎮めるために、3人は夜の帳が落ちた不気味な古城を探索することになった...

                         一方の黒客の2nd stageの舞台は、同じく中世、3つの宗教が混在する聖地エルサレム。こちらも諸国で名を馳せた勇者として国王に迎えられる。即位したばかりのその国王は翌日に戴冠式をむかえるのだが、1つ問題があった。国王の命を狙っているアサシンがその戴冠式にもぐりこんで、暗殺を実行しようとしているという情報が入ったのだ。そこでダイチ達3人は国王の警備として雇われる。気配を消して国王に近づいてくるアサシンを見つけだし、暗殺を阻止せよ...

                         とまあこんな感じだったんですが、今冷静に考えると電脳コイルとしてはどうなの?っていうところですね。いかんせん教育テレビで放送された番組の二次小説ですから、暗殺などあんまり子ども向けではない設定は避けたほうがいいですよね。だからこの話はボツにして正解だったような気がします。3rd stage?そこまで考がまとまっていませんでした。

                         さて「いざ、決着の時」の話はこのくらいにして、今後の展望の話をしましょうか。今回は特別に、僕が構想している「春」の大きな骨格を紹介します。

                         『電脳コイル 春』は、大きく分けると3つの章に分かれます。3部構成ということです。ここではカッコよく、それぞれをAct1、Act2、Act3と分けることにします。そして現在のお話は第11話「崩壊!大黒市」ということで大黒市が大変なことになっていますが、章立ての中ではAct1の佳境ということになります。そして次回第12話で、Act1最大のヤマ場を迎えます。

                         こうして考えると「いざ、決着の時」ってAct1の中でも本当に重いんです。中盤でストーリー的にそこまで進展しないのに、あれだけ盛り上げてしまいましたので。言ってみればお昼ご飯にびっくりドンキーのチーズハンバーグステーキを300グラム食べたときの腹の重さと考えてもらえばわかると思います。第8〜11話でうまい具合に腹ごなしをして、第12話でどれだけのディナーが食べられるかが勝負になりますね。(わかりにくい例えだ)ただ次回12話は「いざ、決着の時」をしのぐスリルと面白さをお届けできたらなと思っております。

                         それでまだAct1も終わってないんか〜い!まだこの話は3分の1も消化してないんか〜い!と思われた方もいるかもしれませんが、分量的にはAct1が終わったところで大体折り返しになると思います。それでも果てしないですね。

                         Act2は場面ががらりと変わります。Act2からAct3に変わるときもそうですが。もちろんお話は1本の線でつながっております。Act3の完結によりすべての伏線が回収されると思います。されるはずです。

                         さあ、この調子だと2010年も「春」は続きそうですね。覚悟はできております。とにかく年末年始、一気に書きためていいスタートを切りたいです。みなさんもどうかここまでお付き合いくださったからには、最後までお付き合いくださいね。(それよりもこのブログで取り上げるネタが尽きるのが心配かも。)

                         さてそろそろ締めたいんですが、なんと大晦日は木曜日!小説更新の日じゃないですか。正直大晦日に投稿してもみなさん紅白やらガキ使やらを見ているでしょう。そこで、年内最後の小説更新は30日にしたいと思います。お話はまったく途中でキリ悪いんですけどね。まあとにかくできるかぎりそうしたいと思います。で、ブログはこちらもできたらですが、3ヶ日の間に正月スペシャルを投稿したいと思います。

                         さて長文に目を通していただいてありがとうございました。来年もどうかよろしくお願いします。ではではよいお年を/

                         
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